IDC Japanは6月9日、国内市場でのSoftware-Defined Infrastructure(SDI)エコシステムの市場予測を発表した。2014年の同市場の売上総額は前年比35.4%増の596億9000万円となった。
IDCはSDIについて、仮想化技術などでサーバやストレージ、ネットワーク機器といったハードウェアが抽象化され、抽象化されたリソースをソフトウェアで制御できるITインフラストラクチャと定義。SDIの特徴として、ワークロードの変化に応じて適切なリソースを動的に割り当てられるため、さまざまな種類のワークロードを最適に実行できることを挙げている。
SDIのアーキテクチャは、「コンピュート領域(Software-Defined Compute:SDC)」「ストレージ領域(Software-Defined Storage:SDS)」「ネットワーク領域(Software-Defined Network:SDN)」という3つのリソースセグメントに分かれ、それらのリソースを統合的に制御するSDIオーケストレーションプラットフォームから構成される。
SDCは抽象化されたCPUとメモリのプロビジョニングを担い、SDSはx86サーバなどコモディティ化されたハードウェアをソフトウェアで制御できるストレージ機能を提供、SDNはネットワークの構成やトポロジーの設定をソフトウェアから制御する。SDIについて、同社はクラウドやアナリティクス、モビリティ、ソーシャル技術で構成される第3のプラットフォームを支える最適なITインフラになると考えている。
同社は、国内ユーザー企業のSDIを構築、運用するために支出するハードウェア、ソフトウェア、プロフェッショナルサービスに対する総額を売上額実績と定義している。2014年実績の内訳としては、コンピュートへの支出額の構成比が62.0%、ストレージは10.9%、ネットワークは5.0%、SDIオーケストレーションプラットフォームは2.8%、残りはSDI導入、運用のためのプロフェッショナルサービス(コンサルティングや構築サービスなど)への支出となった。
2015年の国内SDIエコシステム市場は前年比36.4%増を見込んでおり、2014~2019年の年平均成長率(CAGR)は25.3%、2019年には2014年の3.1倍となる1843億円に達すると予測している。2019年でのストレージ支出額は2014年の5倍、ネットワーク支出額は8.1倍、SDIオーケストレーションプラットフォーム支出額は6.4倍にまで拡大するとし、2015年以降、SDSとSDNの導入が本格化することで、SDIエコシステム市場の成長が加速すると見ている。ソフトウェア&セキュリティリサーチマネージャーの入谷光浩氏が以下のようにコメントしている。
「SDIをより実現しやすくするため、OpenStackに代表されるようにOSSコミュニティとベンダーが共同でSDIのオープンスタンダード化に取り組んでいる。こうした取り組みによって、今後SDIのアーキテクチャと技術の成熟化が進み、SDIエコシステムがより一層拡大していく」