NECは8月27日、企業や官公庁、データセンターなどの大規模環境向けSDN製品群などの強化を発表。従来技術で構築された既存ネットワークシステムをSDN環境にスムーズに移行するための取り組みを開始する。
具体的には、NECが先行してきた、SDNの中核技術となるプロトコル「OpenFlow」対応製品群に加えて、従来技術のルータやスイッチなどのネットワーク製品群にSDN対応機能を搭載した「SDN Ready」製品や“オーバーレイ”方式に対応する製品、運用を自動化するソリューションを拡大する。

NEC 執行役員 福田公彦氏

NEC ソリューションプラットフォーム統括本部 本部長代理 北風二郎氏
NEC執行役員の福田公彦氏は、「システムの複雑化、巨大化に伴い、新たなネットワークの課題が発生。素早くシンプルに構築、変更するのに適した技術が求められている。それを解決するのがSDNである。運用性やコスト削減、セキュリティといった点で、われわれが想像した以上の効果があり、将来的にはネットワーク市場の約3割がSDNになると見込まれている」とSDNを取り巻く環境を説明した。
「今回の強化でオープンな環境で利用できること、投資資産を無駄にしないように既存のネットワーク技術と親和性を持った運用ができること、最適なタイミングで導入することを支援できる」(福田氏)
NEC ソリューションプラットフォーム統括本部 本部長代理 北風二郎氏は、「いよいよSDN技術が実用期を迎えたことで、ユーザー企業が保有する既存ネットワークシステムにも適用が拡大していくことが見込まれる。既存ネットワークシステムのSDN環境へのスムーズな移行を実現する製品のラインアップ拡大することで、最適なタイミングでSDNへ移行する環境を作り、エンタープライズ市場でのSDN活用を推進していく。製品、サービス、ソリューションという三位一体で、SDNへの移行を下支えする製品が整った」とした。
SDNに対応するのは、WANアクセスルータ「UNIVERGE IX」シリーズ、企業向けLANスイッチ「UNIVERGE QX」シリーズ。それぞれ累計出荷で50万台の実績を持つ製品で、いずれも新たにSDN Ready製品として位置付ける。

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「UNIVERGE IXシリーズのSDN機能を有効化するとともに、コントローラを追加購入するだけで、最適なタイミングでSDNに移行できるようになり、SDNコントローラから複数拠点でネットワーク全体を可視化できる。アプリケーションごとにアクセス回線を使い分けて、2系統の回線を効率的に利用できる。UNIVERGE QXシリーズでは、エッジやトップ・オブ・ラックを含めたSDNを構成し、統合管理できる。今後は低価格のLANスイッチにもSDN対応を図っていくことになる」(北風氏)
NECネクサソリューションズでは、同社のマネージドWANサービス「Clovernet」でSDN対応のUNIVERGE IXシリーズを活用したサービスを2015年にリリースする予定だという。
データセンター向けには、オーバーレイに対応するソフトウェアとして「UNIVERGE PF6700」の販売を開始した。既存ネットワーク資産をそのまま活用しながら、仮想サーバ環境に必要となる仮想ネットワークを実現できるという。
オーバーレイは、仮想サーバのソフトウェアスイッチなどのネットワークエッジ間でトンネルを形成して、論理的なネットワークを構成する方式。既存のネットワーク機器がそのまま使えるため導入しやすいと言われている。NECが採用しているOpenFlowは“ホップバイホップ”方式。