ユーザー企業のクラウド活用を支援するテラスカイが7月9日に開催したプライベートイベント「TerraSky Day 2015-クラウドの先に何がある?-」でSalesforce.comが提供するPaaSである「Force.com」のエンジニア5人がパネルディスカッションに登壇。クラウドの未来とエンジニアの生き方について議論した。
パネリスト5人は、いずれもForce.comへの貢献度から「Force.com MVP」として認定されたエンジニアである。マッシュマトリックスで代表取締役社長を務める冨田慎一氏、TAOドライブでエンジニアを務める米井孝浩氏、テラスカイからはソリューション部本部長の今岡純二氏、ソリューション部の讃岐行氏、ソリューション部の吉川大樹氏である。
進行役は、セールスフォース・ドットコムでマーケティング本部ディベロッパープログラムマネージャを務める岡本充洋氏が務めた。
Force.com MVPに認定されたパネリスト5人
開発者視点に立ったエコシステムの整備が課題
最初の議題は、Salesforce.comが提供するクラウド開発プラットフォームの将来性と課題についてである。
テラスカイ ソリューション部本部長 今岡純二氏
インテグレーターであるテラスカイの今岡氏は、ユーザー企業へのクラウドの導入を支援する部門の責任者。今岡氏によると、最近ではレガシーシステムで稼働している基幹システムをForce.comに移行する事例もある。
今岡氏は、「社内だけでなく取引先をつないだシステムを実現するための機能も標準で提供している」と評価しつつ、一方で課題もあると指摘する。数億件のデータを格納するといったケースではストレージが高額になってしまう。
マッシュマトリックス 代表取締役社長 冨田慎一氏
第一線のエンジニアから見た評価としてマッシュマトリックスの冨田氏は、プラットフォームの完成度を挙げる。「昔は、業務を素早く実現できるクラウド基盤と言えばForce.comしかなかった」(冨田氏)
現在ではほかのPaaSも登場してきたが、こうした中でForce.comへのアドバイスとして冨田氏が挙げるポイントが「開発者から見てオープンであること」。開発方法や要素技術にオープンな技術を採用したり、反対にオープンソースソフトウェア(OSS)コミュニティに還元したりすることで社会の中で目立つ存在になれる。
TAOドライブ エンジニア 米井孝浩氏
Force.comに対して開発現場で感じていることについてTAOドライブの米井氏は、「若干クローズドな世界になりがち」と指摘。パートナーのエコシステムはできているが、開発者の視点でのエコシステムはまだ整備されていないという。「例えば、開発者がライブラリを開発した際、(アプリストアの)AppExchangeで公開するのは敷居が高い」(米井氏)
それでも、「最近ではGitHub上で成果物を公開してクラウド環境にデプロイ(配備)する環境ができつつあるので、これが広がれば開発者の横のつながりができてくるのではないか」(米井氏)と期待を寄せる。こうした活動には開発者コミュニティの活動がカギになるという。