インターネットイニシアティブ(IIJ)は7月13日、人工知能(AI)を活用したセキュリティソリューションの開発に向け、実証実験に着手したと発表した。まずは、自社のネットワークに導入し、サイバー攻撃を自動解析、判断、学習させたうえで有用性を8月から検証する。
情報セキュリティ分野では、脅威が複雑化、巧妙化する一方でモバイルやクラウド、M2M/IoTの普及により守るべき情報が広範囲に分散するとともに、セキュリティ人材の不足が懸念されるなど、多くの課題があると指摘されている。IIJでは、AIを活用して人手を介さずに24時間365日リアルタイムで大量の通信トラフィックを監視、異常を検知することで、新たな脅威の予測と迅速な対策が可能になると考え、今回の実証実験を開始するとしている。
実証実験では、AIと高性能コンピュータ(High Performance Computer:HPC)を使った検証システムを構築し、大量のトラフィックを監視、異常を検知できることを確認したうえで、今秋をめどにセキュリティ脅威の予兆検知の実用化に向けた技術検証を進め、来年度の商用化を目指す。
AIの活用は、機器オペレーションの自動化や障害発生時の状況分析に基づく自動切り替えなど、従来人手だった作業を迅速かつ正確に自動で実施できる可能性があるとしている。同社は、セキュリティ領域だけではなく、ビックデータの解析などさまざまな分野へのAIの応用を模索していく予定と説明している。
IIJでは、2001年にIIJ-SECT(IIJ group Security Coordination Team)を立ち上げ、ネット上で発生するインシデントを早期発見、解析、脆弱性情報を収集するなど取り組んできた。2007年からはマルウェア対策のための活動として、MITF(Malware Investigation Task Force)で攻撃の記録や捕獲した検体の解析から得られた情報をもとに外部関連組織と連携を図るなどの活動に取り組んできた。