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Microsoft WPC 2015

売るものの質が根本的に変わった--日本マイクロソフトの平野社長

怒賀新也 (編集部)

2015-07-17 03:57

 米Microsoftは米国時間の7月13日から1週間、年次のパートナー向けカンファレンス「Microsoft Worldwide Partner Conference 2015」をフロリダ州オーランドで開催している。

 現地にて、7月1日付けで代表執行役社長に就任した平野拓也氏に話を聞いた。

平野氏。前社長で現会長の樋口泰行氏には社長就任前、業務の一環としてゴルフのスコアアップを指示されたという
平野氏。前社長で現会長の樋口泰行氏には社長就任前、業務の一環としてゴルフのスコアアップを指示されたという

--日本マイクロソフトの社長就任を前に、東欧のオフィスで25カ国を担当されました。この取り組みの意図や現在につながっている点、またエピソードがあればそれも教えてください。

 個人としてと企業としての2つの側面があります。個人としては、やはり自分のそれまで培ってきたリーダーシップなどの能力が、場所を変えても通じるものなのか知っておきたかったという思いがありました。

 一方、企業としては、私が未知の環境でどこまで実力を発揮できるのかを見極めるという意味で、テストの側面があったでしょう。

 25カ国には、先進国も発展途上国も、両方を含んでいました。ある国では、一般消費者だけでなく、政府関係者や銀行まで、100%のPCユーザーが海賊版を使っていました。

 私はある銀行にアポを取り、訪問したところ、頭取が急に出張になり、副頭取が病気になったと知らされました。私は「出張から帰るか、病気が治るまでここを動かない」と伝えたのです。すると、2分後に頭取が出張から帰ってきました(笑)。

 こうした経験から、ビジネスを遂行する際には、ソフトウェアだけでなく、文化や商習慣の側面から考える必要があると学んだのです。

 社長就任前の4カ月間に実施した施策にも、それを取り入れたことがあります。習慣ではなく、「インパクトポイント」を見極めるということでした。例えば、イベントへの来場者を対象にしたテレセールスにおいて、従来はイベント実施日から2、3週後に電話をかけていました。その顧客が、われわれの別のイベントに参加していたかなど、いろいろと把握する必要があったからです。

 しかし、顧客にとってのインパクトポイントは「欲しい情報を早く欲しい」の一言に尽きます。そのため、このテレセールスの業務プロセスを抜本的に見直し、イベント実施後すぐに電話をかけるような方針にし、それに合わせて業務プロセスを変更したのです。

 PC中心から人中心へ、ライセンスから利用率(コンサンプション、ユーセージ)へといった方針転換を組織として実現する際に、深くかかわってくることがわかりました。

--日本のパートナー向けセッションで、2016年度に、日本マイクロソフトが日本のパブリッククラウド市場で1位になるとの試算を紹介しました。中身はどんなものですか。

 具体的には、Office 365、Dynamics CRM Online、Azureを合わせたパブリッククラウドでの数字を合わせた試算です。プライベートクラウドやホスティングを入れれば、さらに競合との差が大きくなるかもしれません。

 中でも、けん引しているのはOffice 365です。何よりも、競合他社と比較して「マイクロソフトのサポートは顔が見える」という評価を得ています。部分的ではなく、全ライフサイクルにわたって、全国に広がるパートナーネットワークを軸にサポートできるのが、ウェブ専業の競合他社との差別化要素になっているのです。

 機能面でも、Excel、Word、PowerPointやSkype、Power BI、さらにセキュリティを含めて、われわれが長年培ってきた資産がクラウドのビジネスで生きています。

--今回のWPC 2015で最も注目を集めている技術の1つに、Cortana Analytics Suiteがあります。Azureをインフラに機械学習を用い、金融機関における不正検知、顧客動向予測など、新たなサービスの誕生を促す意図があるとの説明がありました。IBMのWatson、AppleのSiriなどを含め、機械学習にかかわる技術が広がっていますが、この領域でのMicrosoftの強みや課題は何でしょうか。

 まず強調したいのが、Microsoftは本気で機械学習に取り組むということです。何かの付加価値のためといったことではありません。Satya Nadellaの「野望」でもあるのです。

 この領域で、他社はどちらかと言えば閉じた世界を作ろうとしています。業種などの仕切りを設け、それぞれ別々にサービスを展開しようとしています。

 一方、CortanaにおいてMicrosoftは、業種に特化するというよりも、(Azureのインフラや、ビジネスインテリジェンス、機械学習などを交えながら)さまざまなアプリケーションを横断させながら、ビッグデータをどう生かしていくかという視点に立っています。

--7月29日に、いよいよWindows 10の無償ダウンロードが始まります。

 Windowsのローンチにおいて、ハコ(製品パッケージ)を片手にプロモーションするという方法を取らないようになる初めてのケースになります。従来は、ハコが何本売れたかが勝負でしたが、今回からは何本無償ダウンロードしてもらえるかが指標になります。その意味で、お金とは関係ない世界と言えます。これが、ライセンス販売と決別し、利用率を重視するというわれわれのビジネスの方向性を示しています。売るものの質が根本的に変わったのです。

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