「Amazon API Gateway」は、アプリケーションと企業のレガシーシステムをつなぐことができるサービスであるとされており、Amazonの製品の中でも重要なものの1つになると同時に、より多くの顧客を呼び込む可能性がある。
簡単に言えば、API GatewayはAPI経済の中心的な存在となる可能性を秘めているということだ。あらゆるもの(ソフトウェア、モバイル、モノのインターネットなど)がソフトウェアとなりつつある中、APIはさまざまなシステムをつなぐ「のり」の役割を果たしている。APIがあるからこそ、「Amazon Web Services(AWS)」や「Salesforce」「Workday」などのサービスを、1つのパッケージであるかのように組み合わせることができる。
問題は、アプリケーションが数は増え、ソフトウェアのサイズは小さくなる傾向があることだ。AWSのAPI Gatewayは、クラウドプロバイダーが得意としている「スケーラビリティ」を支えるものだ。
「あらゆるものはソフトウェアだ。あらゆるものはAPIで提供される」と、AWSの製品戦略責任者であるMatt Wood氏は話す。
API Gatewayは米国時間7月9日、ニューヨーク市で開催されたAWS Summitで発表された。そのとき、開発者はその重要性を即座に理解した。残りのわれわれは、開発者の話を信じるしかなかった。
いろいろと調べ物をした結果分かった、ビジネスの観点から見たAPI Gatewayの魅力は、次のようなものだ。
- サービスの相互接続は増え続けており、認証や負荷分散、トラフィック管理、分析、変更などの機能を提供するのはますます難しくなってきている。またそれらの相互接続を可能にするためには、ソフトウェア開発キットを用意する必要がある。相互接続で本来得られる価値を提供するには、まずそれらの多くの煩雑な仕事を片付けなくてはならないわけだ。データセンターで、機器を問題なく運用し続けることの大変さを覚えている人もいるだろう。APIの管理は、それのソフトウェア版になる可能性が高い。
- API Gatewayは、そのプロセスを自動化し、開発者がよりビジネス的価値の高い作業に集中できるようにしてくれる。
- この従量課金サービスは、(当然ながら)アプリケーションをAWSのクラウドサービスに接続しやすくするためのものだが、レガシーなウェブサービスやサイロ化されたアプリケーションを近代化するためにも利用できる。
それらのことを考えると、 API GatewayをAWSの顧客ではない企業間を仲介する疑似ミドルウェア、またはサービス指向アーキテクチャのような形で使うこともあり得るかもしれない。AWSは、API Gatewayを同サービスの顧客が利用することを想定しているとするが、Wood氏はこれによって新たな顧客が引きつけられる可能性を否定しているわけではない。