海外コメンタリー

IoT開発の進展に必要な5つのこと--マッキンゼー報告書より - (page 2)

Joe McKendrick (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2015-08-27 06:30

 低価格で低消費電力のハードウェアが必要となる。McKinseyの見解では、ある程度の進歩は成し遂げられている。Manyika氏率いるコンサルタントチームは「IoTの土台として、数多くのデバイスやマシン、コンピュータが互いに、場合によっては遠距離間で通信できるという能力が必要となる」と記している。低価格なコンポーネントが入手できなければ、IoTプロジェクトのコストはうなぎ登りになってしまう。報告書には「現在多くの応用分野で技術的なソリューションが実現可能になっているとはいえ、センサノードをはじめとするコンポーネントのコストの高さは、電源関係と通信関係のコストの高さと相まって、実装を非現実的なものにしている」と記されている。ただ、この件に関しては、マイクロエレクトロニクスの低コスト化がかつてないほど進むことで、IoTの取り組みを後押しするだろうとチームは付け加えている。また、RFIDタグは比較的低価格(約15セント)であるが、「小売業や製造業、輸送業における低価格の在庫を管理しようとすれば」、さらなる低価格化が進まなければならない。さらに、クラウドを用いたコンピューティングやストレージの価格低下も追い風になるだろう。報告書には「パブリッククラウドで1Gバイトのデータを保管する場合の価格は、2010年には25セントだったが、2014年後半には0.024セントにまで低下した」と記されている。

 ユビキタスな接続性によって「世界が動き出す」。McKinseyの見解では、まだその段階に至っていない。報告書には「多様な情報源からのデータを用いてより複雑な分析計算を必要とする多くのアプリケーションが、ユビキタスな接続性を必要としている。しかしそのようなものはいまだに、特に発展途上国では実現されていない。先進国であっても、無線データサービスはあらゆる場所で利用可能とはなっておらず、多くの工場や倉庫などの産業用建物が設置されている郊外での信頼性は高くない。また、米国の一部の農業従事者は、無線データネットワーク接続が農場全域で利用できるとは限らないため、センサからのデータをUSBメモリにロードしている。発展途上国の準郊外や地方の接続性はさらに貧弱な状態であり、多くの国はいまだに高速ネットワークを整備している段階だ」と記されている。

 活用するにはデータ分析ソフトウェアと、データ分析の専門家が必要である。McKinseyの見解では、これは現在取り組まれているところだ。アナリティクスは、単なるデータの塊を価値ある情報へと変えるという点でIoTが目指すべきゴールである。しかし、この分野のスキルを有した人材は不足している。Manyika氏率いるコンサルタントチームは「現在のデータ分析ソフトウェアを見ると、あらゆる場面で容易に活用できるほどには進歩していない。収集されたデータの多くが使用されていない理由の1つがここにある。現実に即した具体的なユースケースに適応したアルゴリズムの開発とチューニングという難しい作業はいまだに多くが完了しておらず、この作業をこなせるスキルと能力は供給不足の状態が続いている。また、ユーザーの組織内でも能力不足なところがあり、IoTアプリケーションにおけるビッグデータ分析の完全な実装を阻んでいる」と主張している。これに加えて、IT部門は企業データのサイロ化の解消に向けて10年以上にわたって取り組んできているが、その問題はいまだに解決されずに残っている。

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