IDC Japanは、国内での“モノのインターネット(Internet of Things:IoT)”市場の最新動向を発表した。国内IoT市場の売上規模は2014年で9兆4000億円、2019年には16兆4000億円に達すると予測した。年平均成長率は11.4%になる。
2014年の国内IoTデバイスの普及台数は5億5700万台、2019年には9億5600万台に達するとした。普及台数の成長率は年平均11.9%と見込んでいる。
デバイスのコモディティ化進む
IDCでは、IoTの定義を「人の介在なしにIP接続での通信をローカルまたはグローバルに行うことができる識別可能なエッジデバイス(モノ)からなるネットワークのネットワーク」としている。
同社では、2014年11月に世界のIoT市場に関する予測を発表しており、2013年には1兆3000億ドルだったものが、2020年には3兆ドルを超えると予測。接続されるデバイスは全世界で300億台に達すると予測している。「日本は組込系が進んでいた背景もあり、世界に比べると成長率は若干低くなっている」という。
IDC Japanでは、国内IoT市場の構成要素を「アプリケーション」「アナリティクス」「プラットフォーム」「コネクティビティ」「システム/デバイス」の5つのレイヤをもとにしている。
より具体的には、IoTデバイスを指す「インテリジェントシステム/エッジデバイス」のほか、ネットワーク機器などの「通信モジュール、通信回線、通信機器」、プラットフォームを支えるソフトウェアによる「IoTプラットフォームソフトウェア」、分析ソフトウェアで構成される「アナリティクスソフトウェア」、IoTを支えるハードウェアで構成される「IoTインフラストラクチャ」、業種特化型ソリューションやコンサルティングサービスなどの「垂直市場ソリューション/専門サービス」、そして、すべてのIoT領域にまたがる「セキュリティサービス」の7つに分類している。
IoT市場を構成する要素
「IoTデバイス(インテリジェントシステム/エッジデバイス)は、市場全体の8~9割を占めると予想しているが、予測期間の後半ではIoTデバイスのコモディティ化が進み、IoT市場全体に占める構成比は7割台に縮小し、それを補完する形で、ほかの技術要素が徐々に割合を増やしていくことになる。IoTデバイス以外の上位レイヤ領域は規模が小さいが、2019年までの成長率はIoTデバイスの成長率に比べて3倍のスピードで伸びるだろう」(IDC Japan コミュニケーションズマーケットアナリストの鳥巣悠太氏)
注目されるエネルギー関連IoT
IoT市場の成長促進要因としては、IDC Japanは4つの観点から説明する。「Intelがファッションブランドと提携し、日本マイクロソフトが大手ゼネコンと提携するなど『事業者同士の連携』が促進されていること、ネットワークコストの削減、サーバやストレージの低価格などによる『リソースコストの低減』、人工知能やディープラーニング(深層学習)などによる『テクノロジの高度化と浸透』。そして、IoT向けの法規制などの『環境の改善』も成長促進要因になる」と解説した。
「2015年に向けては、『導入主体/形態の拡大(Who)』『導入目的の拡大(Why)』『導入機器/場所の拡大(What/Where)』という3つの方向に対するビジネスが加速すると予測している」と述べた。