導入主体/形態の拡大では、輸送業や製造業だけにとどまらず、さまざまな業種での導入が促進されると指摘。「ThingWorxといったクラウド上で簡単にIoT環境を開発できるといったプラットフォームが登場し、IoTの初期コストを抑えるプラットフォームや管理性を高めるサービスの登場がこうした動きを後押しすることになる」とした。
導入目的の拡大では、さまざまな分析プラットフォームが登場することでIoTの目的用途が多様化するとして、GE Predix、日立のGlobal e-Service on TWX-21、NECのCONNEXIVE、シスコシステムズのCisco IOxといった分析プラットフォームサービスが起爆剤になるとした。
「特に2015年はエネルギー関連IoTへの注目が高まると見ている。電力料金の高騰に伴い、小売業ではエネルギーコストの削減に注目している。2016年にかけてスマートメーターが何千万台と普及していく動きや電力小売りの自由化といった動きがIoTの導入目的や用途の多様化を促進することになる」
導入機器/場所の拡大では、クラウド側の充実だけでなく、エッジ側を含めた一貫性そのものが重視されるとし、AxedaやIntelのIoTプラットフォームといったサービスを一例に挙げたほか、NTTドコモのM2Mプラットフォーム、VodafoneのM2M Global Platformなどにより、IoTのグローバルなシームレスでの利用が実現されることで「導入機器と地域がグローバルに拡大する」と語った。
これらの3つの要素では、プロセスの簡略化やコスト合理化といった「HOW」といった側面もこれから重要視されるともみているという。

IDC Japan コミュニケーションズマーケットアナリスト 鳥巣悠太氏
鳥巣氏は、IoT事業者に対する提言として「短期、中期的には、プラットフォームの多様化にあわせて各顧客のニーズにあったプラットフォームを選別する努力が必須になる。IoT市場を牽引するのは付加価値サービスであり、斬新なアイデアを創造するためには事業者同士の連携をさらに推進すべき。IoTは多くの顧客にとって未知のものであり、事業者側が主体的にソリューションを提案、提供していくことが必須になる」とした。
「長期的には、IoT関連のグローバル団体への積極的な参加を通じて、日本が持つ技術やノウハウを世界で活用してもらう環境の構築が必要。そうした動きが遅れたスマホのようにならないことが求められる。さらに、業界が一丸となった形で法規制改善に向けた働き掛けで業界を横断したサービス、個人情報を活用したサービスの実用化を促進すべき」