パブリック、プライベート、ハイブリッドのいずれにしても、クラウドに投資している企業はますます増えている。しかし、1つ問題がある。99%の企業は最適な導入戦略を用意していない。
これは、Ciscoの資金提供で行われた調査における要点の1つだ。米国時間8月26日に発表された調査の正式なタイトルは「Don't Get Left Behind: The Business Benefits of Achieving Greater Cloud Adoption」(「後れをとるな:クラウド導入の拡大によるビジネス上のメリット」の意)で、Ciscoの委託によりIDCによって実施された。
IDCは、17カ国にわたる3643名のITに関する意志決定者を対象に調査を行い、この結果を得た。回答者は現在、プライベートクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウドを自社のITに導入している企業で働いている。
この99%という数字は非常に大きなものではあるが、この調査の重要なポイントは、クラウド導入の「第2の波」とこの調査で呼ばれている段階に企業が移行しつつあるという点だ。このクラウド導入の「第2の波」とは、組織がビジネスの成果を高める手段としてクラウドを採用している状態のことを指す。しかし、全ての企業がそこに到達するための明確な戦略を持っているわけではない。
この調査によれば、世界全体のクラウド導入戦略の状況は次のようになる。
- 32% - はっきりしたクラウド導入戦略はない
- 32% - 必要に応じて、随時クラウドツールを導入する
- 11% - 臨機応変に導入する
- 16% - 繰り返し可能な導入戦略を使用している
- 8% - 管理された戦略がある
- 1% - クラウド戦略が完全に最適化されている
Ciscoのクラウドマーケティング担当ディレクターのFabio Gori氏は次のように語る。「注目すべきニュースは、世界中の組織のうち、このような最適化された状況にあるのは、わずか1%という点だ。ほかの組織はまだ、自らの進む道を模索している段階にある」
クラウドの導入
こうしたクラウド導入を後押しする、重要な主要業績評価指標(KPI)が3つある。1つ目のKPIは効率だ。IDCの調査の回答者のうち、77%がITコストを削減できたと回答し、72%がクラウドによってサービス品質保証(SLA)を満たす能力が向上したと回答した。
次のKPIはスピードで、回答者の99%が、ITサービスの設定にかかる時間の面で改善が見られたと回答している。最後の重要なKPIはディスラプションである。調査対象となったIT部門のリーダーは、クラウドのおかげで10.4%の売上高の増加と、200%の戦略的IT予算配分の増加を経験している。
もともと、2014年に実施されたIDCの「CloudView」調査で1万9080人のサンプルが用意されており、今回の回答者はそこから抽出されたものであるため、クラウドを採用しているITリーダーは十分にいるといえる。クラウドはまだIT部門に広く導入されてはいないものの、われわれが転換点にいるのは間違いないようだと、Gori氏は述べている。