富士通と日本工営は9月3日、サーバルームで“モノのインターネット(Internet of Things:IoT)”の仕組みを活用した省エネ化事業で協業することに合意したことを発表した。エネルギー使用量の可視化から省エネ施策のコンサルティング、導入までの一元的なサービスを提供する。
両社は、建物内のエネルギー使用量の可視化と空調や照明設備を遠隔から制御できる、富士通のクラウド型エネルギー管理システム(Energy Management System:EMS)「FUJITSU Intelligent Society Solution Enetune-BEMS」と日本工営の建物設備の省エネ運用や改修技術を組み合わせ、サーバルームでの電力使用状況の監視から省エネ化コンサルティング、設備の導入工事、政府系補助事業の申請手続まで一元的に提供し、顧客企業のエネルギー使用量を削減できると説明する。
同サービスの提供開始に先立ち、富士通社内のサーバルームで実施した実証実験では、同サーバルーム内の空調搬送動力(空調設備で発生させた冷気と暖気を送風させるための動力)の消費電力を27%削減することに成功したという。初期費用は500万円から。10月からサービスを提供する。2015年度から5年間で、100社以上の受注獲得を目標としている。今後は、オフィスビルや流通店舗など、サーバルーム以外の建物に向けたサービス展開も順次検討していくとしている。
サーバルームの省エネ施策を継続的にサポートする(富士通提供)
富士通はこれまで、企業向けにEnetune-BEMSを提供することでエネルギー使用量の可視化と、その結果に基づいた空調や照明設備の遠隔制御による省電力化を実現し、エネルギー管理をサポートしてきた。日本工営では、省エネ化を実現するためのコンサルティングや設備工事の実施、政府系の省エネ関連補助事業に関係する申請手続などで実績を積み重ねてきた。協業でエネルギー使用状況の可視化から省エネ化の実現までの一連のサービスをワンストップで提供できるとしている。
今回の協業では、省エネ施策の運用について、サーバルームの管理担当者と連携を取りながら継続的なサポートを実施することで年間を通じたサーバルームの安定稼働と効果的な省エネの実現に貢献していくとしている。
今回のサービス提供に先立って両社は、富士通ソリューションスクエア内のサーバルーム(延床面積約1000m2、ラック数約200台)を対象に2014年4月~2015年3月に電力削減効果に関する実証実験を実施。富士通ソリューションスクエアの施設管理部門に対し、施設内の電力使用状況や設備状況を入念にヒアリングした結果、一部のサーバルーム内に熱だまりがあることが判明した。
センサを活用してサーバルーム内の電力使用状況、温度や湿度の情報を継続的にモニタリングし、そのデータをもとに空調搬送動力を遠隔制御で調整するなど詳細にチューニングして、サーバルーム内の室温を保ったまま、年間で約200万円の電力料金に相当する、約27%の電力使用量を削減できたという。