ハイブリッドクラウドのコストを可視化、通信事業者向けにNFV:ヴイエムウェア

怒賀新也 (編集部)

2015-10-15 07:00

 米VMwareは10月12日から4日間の予定で開催しているユーザーカンファレンス「VMworld 2015 Europe」において、ハイブリッドクラウドの管理基盤刷新、ネットワーク仮想化(NFV)を用いた通信事業者向けクラウドサービス、パブリッククラウド「vCloud Air」の新機能群をそれぞれ発表した。

 ハイブリッドクラウドの管理基盤の最新版として「VMware vRealize Automation 7」と「VMware vRealize Business Standard 7」を発表した。

 vRealize Automation 7では、アプリケーション構築において、基盤となるネットワークやセキュリティを仮想化し、ソフトウェア上で定義できるようにした。稼働させるアプリケーションの特性に応じて、仮想LAN(VLAN)やファイアウォール、ロードバランサなどを含めたネットワークリソースを仮想化した上で、ソフトウェアで制御できるようになる。

 また、アプリケーションへの負荷に応じてネットワークのリソースを自動的に拡充する際に、通常IPアドレスの割り振りやチケッティング、承認などが問題になることが多い。これを解決するため、ワークフローを挟めるようにすることで、組織的な側面も含めてリソースを柔軟に追加できる。

仮想LANやファイアウォール、ロードバランサなどを含めたネットワークリソースを仮想化した上で、ソフトウェアで制御できる
仮想LANやファイアウォール、ロードバランサなどを含めたネットワークリソースを仮想化した上で、ソフトウェアで制御できる

 一方の新機能であるvRealize Business Standard 7の特徴は、ハイブリッドクラウド全体の運用コストを、パブリッククラウドを含めた上で可視化できること。契約しているサーバやストレージリソースに対して、実利用しているリソースと利用していないものを金額ベースで表示する。

 Amazon Web Servicesなど他社のクラウドリソースも、各社が公開している価格情報に関するAPIを参照することで、把握する。ヴイエムウェアのチーフエバンジェリスト、桂島航氏によると、「あまり使っていないサーバリソースに関して、2週間反応がなかったら自動で契約を解除するといった運用も可能」とのこと。

オンプレミス、パブリッククラウドを含め稼働状況を金額ベースで把握
オンプレミス、パブリッククラウドを含め稼働状況を金額ベースで把握

通信事業者向けにNFV基盤

 通信事業者向けのNFV基盤として、「VMware vCloud NFV Platform」の提供も発表。VMwareがさまざまな企業に提供している汎用的な仮想化基盤を通信事業者向けに再構成して提供することで、ハードウェアに制約がなくなるだけでなく、稼働するアプリケーションもマルチベンダーに対応できるため、運用コストを下げられるといった利点がある。

 このNFV基盤について、今回8社が参加する認定プログラムも開始した。初回として、NEC、HCL、Brocade、Versa、Velocloud、Mitel、Affirmed、Metaswitchの8社のパートナーが参加している。

vCloud Air向けにも多くの新機能

パブリッククラウド「vCloud Air」とActive Directoryを連携させ、認証を一元化できる
パブリッククラウド「vCloud Air」とActive Directoryを連携させ、認証を一元化できる

 VMwareが展開するパブリッククラウド「vCloud Air」でも多数の新機能を投入する。

 オンプレミスのActive Directoryと連携して認証基盤を統一する「Enhanced Identity Management」や、サービスプロバイダー向けIaaS構築ソフトウェア「VMware vCloud Director 8」、グローバル対応のDNSサービスとして「Google Cloud DNS」も提供する。

 このほか、vCloud Air上でDockerなどのコンテナサービスを運用するためのサービスや、クラウド内でのレイテンシの把握やダッシュボードを通じたデータ可視化などを実現するサービスなども発表した。

 桂島氏は「(8月下旬に米国で開催した)VMWorldからわずかな時間しかたっていないにもかかわらず、多数の新機能を発表できている点について、われわれの製品開発における“エコシステム”の優位性だと考えてほしい」と話している。

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