サンフランシスコ発--Oracleが毎年秋に開催する年次カンファレンスOracle OpenWorldが開幕した。今年もたくさんの顧客や投資家、アナリスト、メディア関係者がイベントに参加しようと当地を訪れている。会場となっているモスコーンセンターの周りを彩る赤と白のバナーに目をやると、Oracleが今何にフォーカスしているかがひと目で分かる。
答えは至ってシンプル。「クラウド」だ。
米国時間10月25日夕方に行われた開幕キーノートには、Oracleの会長兼最高技術責任者(CTO)を務めるLarry Ellison氏が登壇し、「クラウドの3つのレイヤすべてに取り組んでいるのは、Microsoft以外ではわれわれだけだ」と述べた。
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同氏は「インテグレーテッドクラウド」という名の下、プラットフォームサービスやクラウドベースのアプリを管理するための新プロダクトを披露した。
その中でも、製造とEコマース向けの2つのアプリケーションについて、Ellison氏はOracleがクラウドでの「立場をかためる」うえでの足がかりと表現した。
Oracleは9月に2016会計年度第1四半期(8月31日締め)の決算を発表し、(クラウドを含めて)業績が振るわなかったことが明らかになった。Oracleは今週のイベントを含め、今後数カ月をかけて、不振を挽回しようとしている。
同社はこの1年間、年度末までにSaaSとPaaSで15~20億ドルの新規契約をとりつける目標を立て、ライバルのSalesforce.comをしのぎ、市場を支配しようと狙っている。
Ellison氏は講演でこの見通しに再び触れ、OracleはSaaS/PaaS分野で他のどの企業よりも多く「新規の契約をとりつける」と述べた。同氏によれば、Salesforceより少なくとも50%多く稼ぐ計画だという。
また同氏はクラウド市場のここ20年の歴史を簡単に振り返り、今は市場形成の「途上」にあると強調した。数年前は1億ドルだったトップ企業らの(年間売上高の)ランレートが今は60億ドルに達しているという。
同氏が言うところの、Salesforceなどの最初のクラウド企業は、多様な製品がひとまとめに「クラウド」と表現されることのなかった、15年前の会社だという。
しかし、10年前にはOracleもすべてのアプリケーションを「-aaS」化させる必要性に気付いたとEllison氏は述べ、ミドルウェアやデータベース製品の刷新など、たくさんの課題があった頃を回想した。
同時に競争環境も変わったという。Ellison氏はSalesforce、Workday、Amazon Web Services(AWS)が違うレイヤの競合企業と表現し、一方で、他の2社に対しては遠慮のない言葉を浴びせた。
IBMとSAPについて「かなり衝撃的なこと」だとしつつも、「彼らのことをわれわれはもはや気にしていない」と述べた。
Oracleは時折、競合に対する明からさまな対抗措置を打ち出す。たとえば、Ellison氏はOracleが(より安くすることはできなくても)AWSと少なくとも同等の価格帯で常に製品を提供すると誓った。
AWSは「Microsoft Azure」や「Google Cloud Platform」とともに、クラウドサービスをしょっちゅう値下げすることで知られている。それでもなお、Ellison氏はAWSよりも高い製品は出さないとの約束を今回も口にした。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。