三菱ふそうトラック・バス(MFTBC)は、顧客サービス強化の取り組みの一環として、トラック運用コストの比較シミュレーションアプリケーション「ライフサイクルコストシミュレーター」を新たに構築した。
クラウドプラットフォームの活用により約3週間で構築し、開発期間を6分の1に、初期費用を3分の1に低減できたという。クラウドプラットフォームを提供したSAPジャパンと、構築を支援したNTTデータグループのコンサルティング会社のクニエが10月26日に発表した。
原油高や円安などの要因により燃料費が高騰していることから、運送業界各社の経営は厳しい状況に置かれており、利益を確保するために迅速かつ正確に原価計算することが求められている。MFTBCは、こうした顧客に対するサービス強化の一環として、またIT主導による新たなサービスの構築も視野に入れ、今回のライフサイクルコストシミュレーターを構築した。
同システムでは、現行の運用車輌、年間走行距離、所有台数などの必要項目を入力することで、トラックの燃費や整備コストといった運用費用を試算し、MFTBC製車輌を導入した場合の運用費用と、瞬時にシミュレーション比較できる。
システム基盤には超高速で計算処理可能なSAPのインメモリクラウドプラットフォーム「SAP HANA Cloud Platform」を用い、ユーザーにストレスを感じさせないスピードを実現しているという。また、公式ホームページ内から誰でもアクセスでき、PC端末およびタブレット端末から利用することが可能となっており、今後はスマートフォン対応やさらなる機能拡充も予定している。
MFTBCでは当初、本アプリケーションをオンプレミス(自社環境での構築)で構築することを検討していたが、オンプレミスでは第一弾サービスの提供開始までに半年以上を要する見込みだったこと、第一弾以降も機能拡張を予定していることなどから、スピードと柔軟性に優れたHANA Cloud Platformでの構築を決定した。
特に、SAP HANA Cloud Platformが、アプリケーション開発に必要なアプリケーションサービスを多数備えていたことや、将来的にビッグデータ処理と予測分析などの新たなサービスの基盤となる可能性も有していることなども、採用理由として挙げている。
また構築には、クニエが構想策定からディレクション、HANA Cloud Platformの開発までを担当した。こうした結果、今回の第一弾までの開発期間は6分の1以下、初期費用も3分の1以下に抑えたとしている。
「ライフサクルコストシミュレータ」の画面例(SAP提供)