IDC Japanは11月9日、2016年および、その先数年間における世界IT市場の動向を特徴付ける技術や市場トレンド、企業の動きなどの予測を「IDC FutureScape」レポートとして発表した。
モビリティ、クラウド、ビッグデータ/アナリティクス、およびソーシャル技術の上に築かれた「第3のプラットフォーム」技術が急速に進展し、第3のプラットフォーム基盤上でイノベーションとトランスフォーメーションが激増する「イノベーションステージ」へと移行する。
こうした局面は今後3~5年にわたり加速し、企業は、デジタルトランスフォーメーション(DX)に巨大なスケールで取り組み、「DXエコノミー」の出現をもたらすと予測している。
米IDC シニアバイスプレジデント兼チーフアナリストのフランク・ジェンス氏は、以下のようにコメントしている。
「企業に『スイッチが入り』、DXエコノミーにおける指導的役割を確保するためにDXイニシアティブを大幅に拡大するにつれて、DXの破壊的なインパクトは全ての産業において認知され始めている。今後2年以内にGlobal 2000企業の3分の2のCEOが成長・収益性戦略の中心にDXを据えるだろう。IDCでは、2020年までに、高度なDX戦略を掲げ、実践する企業の割合は2倍以上に増えると予測している」
レポートの主な内容は以下の通り。
DXエコノミーの台頭
第3のプラットフォームが全産業で広範囲なデジタルトランスフォーメーション(DX)をけん引するイノベーションステージに移行する2016年に、「DXエコノミー」が台頭すると予測
DXビジネス戦略
今後2年以内にGlobal 2000企業の3分の2の最高経営責任者(CEO)が、成長・収益性戦略の中心にDXを据え、DXエコノミーにおけるリーダーシップ獲得を狙うDXイニシアティブを立ち上げる
第3のプラットフォームIT
DXエコノミービジネスの実現に向けた投資は、今後24カ月以内に、企業のIT支出の半分以上を占め、2020年には60%に達する
クラウドコア
2018年には、企業のITインフラおよびソフトウェア投資の半分以上がクラウドベースになり、2020年には60~70%に達する
イノベーションキャパシティ
DXイニシアティブを追求する企業では、ソフトウェア開発チームの規模が2018年には現在から倍増し、開発チームはDXイニシアティブに重点を置く
データパイプライン
DXイニシアティブを追求する企業では、外部からのデータパイプライン数は2018年までに現在の3~5倍になり、データ市場へのデータ配信量は現在の100倍になる
インテリジェントエッジ
DXエコノミーの成長を支えるIoT分野で、2018年までにIoTデバイス数は現在の2倍以上の220億台に達し、20万種以上の新しいアプリケーションとソリューションの出現を促す
リアルタイムな知見
認知ソフトウェアのプラットフォームへの支出は2016年に10億ドルを超える。2018年までに企業の開発者チームの50%以上が認知サービスアプリケーションを取り入れる
デジタルサプライネットワーク
産業特化型クラウド数は現在の100余りから2018年までに500以上に増加する。DXイニシアティブを追求する企業の80%が2018年までに産業特化型クラウドを構築もしくは提携する
顧客関係
DXエコノミーがもたらす価格破壊は顧客数の1000~1万倍化を企業に促し、2018年までにB2B企業の60%、B2C企業の80%がカスタマーエンゲージメントシステムを再構築する
サプライヤーの生存
DXエコノミーの進展により2020年までに、ITサプライヤーの30%が買収、合併、事業縮小などにより市場から消滅する。企業はITサプライヤーとの関係を抜本的に見直す必要に迫られる