「脳に倣うコンピュータ」で人工知能の進化狙う--NECがAI事業を強化 - (page 2)

藤本和彦 (編集部)

2015-11-12 07:30

 同技術を活用した事業展開として、江村氏は、防犯や犯罪捜査などへの適用を例に挙げた。これまでにも、顔認証技術を中心としてブラックリストに登録された容疑者を発見する仕組みはあった。しかし、これでは怪しい行動をする未登録の不審者を発見することはできなかった。それに対して、時空間データ横断プロファイリング技術では、複数の場所で撮影された映像データから、特定の不審行動を取る人物を検出することで、空き巣や車上荒らしなど、下見や物色で長時間うろつく不審者をリアルタイムに発見できる。

 また、同じ場所を行ったり来たりして道に迷っている観光客をいち早く見つけて道案内をするおもてなしや、振る舞いと表情から商品を購入しなかった理由を分析するマーケティングなどへも展開できると江村氏は話す。

AIの進化を支える脳型コンピュータ

 ここまでは目標の定まった問題に対して、いかに効率化を図るかという取り組みだった。しかし、経営判断や対人ケア、新製品開発といった、具体的なゴールの定まらない課題や不確かな状況で人の意思が強く反映される状況もある。そうした場面に対する新たな挑戦として江村氏は「人とAIの協調」を掲げた。

人とAIの協調
人とAIの協調によって知性レベルの支援を提供する

 人の判断に示唆を与える知性レベルの支援を提供する要素技術としては、「テキスト含意認識技術」「音声認識、音声合成技術」「RAPID機械学習技術」「異種混合学習技術」などがベースとなる。

 「ゴールが定まらない難しい問題に対して、人とAIが協調することで、課題解決に要する時間を短縮し、失敗のリスクを低減できる」(江村氏)

 さらにNECでは、AIの進化を支えるための新しいコンピューティング技術への挑戦として、「脳に倣う脳型コンピュータ」を大学などの研究機関とオープンイノベーションで開発していく。これは、ノイマン型コンピュータの枠組みにとらわれず、精度が落ちても答えが1つではない課題に柔軟に対応できるコンピューティングであるという。

脳に倣う脳型コンピュータ
NECが今後推進していく「脳に倣う脳型コンピュータ」

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