セールスフォース・ドットコムは、パートナーシッププログラム「Salesforce Fullforce」をスタートした。中堅企業と大企業を対象とした業種別ソリューションをパートナー企業とともに構築し、「お客様のビジネストランスフォーメーションを推進していくプログラム」(セールスフォース・ドットコム 執行役員 アライアンス本部 副本部長 手島主税氏)となる。
セールスフォースのプラットフォームとパートナー企業の業種への知見が入ったものを提供することで顧客にとっては短期間に経営戦略と合致したITソリューションを導入できる。第1弾パートナーとしてアクセンチュア、デロイト トーマツコンサルティング、パソナテキーラ、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の4社が参加している。
Salesforce.com セールスフォースインダストリー担当エグゼクティブバイスプレジデント John Wookey氏
セールスフォース・ドットコム 執行役員 アライアンス本部 副本部長 手島主税氏
米本社セールスフォースインダストリー担当エグゼクティブバイスプレジデントのJohn Wookey氏は「従来、IT導入の目的は企業の効率化を図るためだった。現在では顧客とのより深いエンゲージメントを実現するために活用することを望んでいる」とビジネス環境の変化によって、IT活用の狙いが変わってきていると指摘した。
セールスフォース自身もコアプラットフォームを拡張し、業種専門性ノウハウを持ったパートナー企業との連携を強化することで、パートナー企業とともに成長するエコシステムとして、今回のプログラムを提供していく。
顧客との接点のあり方が変化
Salesforce Fullforceは、Salesforceのプラットフォームにパートナー企業が提供する業種向けソリューションや上流コンサル、業務設計などをセットに提供する。企業が顧客接点の変革を必要とする中、戦略、業務設計から実証までの実行スピードを短縮し、経営戦略とITの融合を短期に実現する、垂直立ち上げを狙う。
手島氏は「顧客の変化によって、Salesforce自身も変化する必要がある。それを実現するパートナーシップ」と今回のプログラムの意義を解説した。
セールスフォース側では業種別ソリューションビジネス推進のために、(1)業種別ビジネス推進体制の強化、(2)「Fullforceソリューション認定プログラム」を推進し、ソリューションの共同開発推進、(3)協業パートナーとの日本企業のグローバル展開支援と共同提案を実施する共同マーケティング――の3点を進める。第1弾認定パートナーとして4社が参加しているが、引き続き新たなパートナーが加わる計画となっている。
Fullforceの枠組み
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第1弾パートナーとなった、アクセンチュア、デロイト トーマツコンサルティング、PwCの3社が会見に登場し、今回のプログラムに参加した目的と自社の提供するソリューションを説明した。
アクセンチュアは保険業向けに業務効率を改善するための「Accenture Insurance Agent Effectiveness Solution」を2015年12月から提供することを計画している。「保険会社の営業プロセスの業務改善をサポートするソリューションとなっている。業界特化の強みで、通常に比べて短期導入をさらに早く、ベストプラクティスを提供できる。保険業界側も変革に積極的で、すでにレディ状態となっている」(アクセンチュア テクノロジーコンサルティング本部 マネジング・ディレクター 篠原淳氏)
デロイト トーマツコンサルティングは、製造業を変革するという「Deloitte Digital Solution for Manufacturing」を提供する。デロイトのテンプレートと日本で新規性がある独立系ソフトウェアベンダー(ISV)製品を組み合わせて提供する。「セールスフォースの迅速性と柔軟性を持つプラットフォームと、デロイトの知見と経験に基づくビジネスデザインを、開発はほかのベンダーと協業して実現する」(デロイト トーマツコンサルティング 執行役員パートナー 新坂上治氏)
PwCでは、不動産業界向けソリューションを提供する。「不動産業者と消費者の情報格差は依然として解消されていない。これは見込み客にたどり着きにくいという売り手にとってもデメリットを生んでいる」(PwC コンサルティング部門パートナー 小林保之氏)との観点から、顧客情報のアナリティクスや業務テンプレートで顧客のニーズにあったコミュニケーションをする。マーケティング、営業プロセスを横断的に再構築することで、不動産業者の顧客対応力を強化する。
今回提携した企業は、ほかの外資系ソフトメーカーとも提携しているが、セールスフォースは顧客との接点となるプラットフォームとして適していると判断したという。今回のプログラムは中堅企業と大企業向け。中小企業向けには、現在提供中のアプリケーション提供サイト「AppExchange」を通してアプリケーションを提供していく。