本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、日本オラクルの下垣典弘 専務執行役員と、デルの町田栄作 執行役員の発言を紹介する。
「製品・サービスの品揃えや営業力のさらなる強化で、セールスフォースを追撃したい」 (日本オラクル 下垣典弘 専務執行役員)

日本オラクルの下垣典弘 専務執行役員
日本オラクルが先ごろ、CRM(顧客情報管理)やSFA(営業支援システム)をSaaS型クラウドサービスとして提供する「Oracle Sales Cloud」の最新版を発表した。同社専務執行役員でクラウド・アプリケーション事業を統括する下垣氏の冒頭の発言は、その発表会見の質疑応答で、この分野で先行するセールスフォース・ドット・コムをどのように追撃するのか、と聞いた筆者の質問に答えたものである。
Oracle Sales Cloudの最新版では、ハイテク・製造、金融、消費財、通信の4つの業界別テンプレートに加え、予測の精度を向上したアナリティクス機能や販売代理店管理機能を新たに提供することで、売り上げ増加と業務効率の向上を同時に支援するとしている。さらに詳しい内容については関連記事を参照いただくとして、ここでは下垣氏の会見での発言に注目したい。
同氏はまず、SFA市場のポテンシャルについて、アイ・ティー・アールの調査結果をもとにしたグラフを示し、これから導入する企業の潜在的需要が1800億円、導入済みの企業でクラウドへシフトする需要が1400億円と、合わせて3200億円規模の潜在市場があることを強調した。

SFA市場のポテンシャル
また、注目度の高いデジタルマーケティングについても「マーケティングオートメーションばかりに目が行きがちだが、SFAと連携させないと売り上げや収益につながる仕組みにはならない。オラクルはその仕組みづくりをご支援できるソリューションに注力している」と述べた。
そして、会見の質疑応答で筆者が聞いたセールスフォース・ドット・コムの追撃策については次のように答えた。
「オラクルはクラウドサービスだけでなく、オンプレミスとクラウドによるハイブリッド環境での利用や、オンプレミスからクラウドへの移行をスムーズに行える製品・サービスを取り揃えており、クラウドサービス専業ベンダーにはないソリューションを提供している」
「さらに営業力も一段と強化していく。具体的には、IT業界だけでなく、幅広い業種でさまざまな経験を積んできた感性豊かな営業マンを積極的に採用し、この分野でのお客様への応対力を一段と強めていきたい。その人数は差し控えるが、相応の規模を計画している」