「社内はWindowsだけ。しかもXPしか使ってはいけない」――。筆者が、10年前に聞いた言葉だ。当時はまだ、iPhoneは存在せず、筆者がいたオフィスの中にはWindows PCと各自に貸与されたフィーチャーフォン、今で言うガラケーだけだった。プリンタは有線LANでつながれており、無線LANも飛んでいなかった。
現在、著者が属するイシンでは、いまこの記事を書いているデスクトップPCであるMac miniはもちろん、全社員のPCがWi-Fiで繋がっている。ほとんどがMacだが、業務の都合があるため、Windows PCも存在している。すべてのデータがクラウド上にあるため、MacもWindowsも関係なく仕事ができている。こういう話をすると「それは中小企業だからできるんだろう」とか、「ベンチャーだからできる」「新しい会社だからできる」と言われることが少なくないが、本当にそうだろうか。
今回は、MacとWindowsの共存、さらにはiPadも複数のモデルを使える環境を整える手順を考えていこう。
まずは有線LANをなくそう
2011年3月の震災を機に、デスクトップPCをなくした大企業が何社かある。震災直後に計画停電があったころ、停電で業務に支障が出ることを避けるために、ノートPCに変更し、計画停電時は電源を抜くということをやっていた企業もある。
しかし、そういう企業でも、社内で業務を行う際に有線LANを使っているケースが多い。Wi-Fiが当たり前になっている人たちには驚きかもしれないが、意外とそういう人たちがいるのだ。
Windows PCでも、Surfaceのように有線LANポートを持たないものが登場してきているが、Windows PCの場合は有線も想定して有線LANポートを搭載する機種が主流だ。しかし、Macのノートモデル(MacBook、MacBook Air、MacBook Pro)の場合には、かなり前から有線LANポートがなくなっており、Wi-Fiの利用が前提になっている。どうしても有線LANが必要な場合は別売りのイーサーネットアダプタを使って接続することになる。ちなみに筆者は、海外出張の際にはイーサーネットアダプタを持ち歩いているが、ここ2、3年で実際に必要になったことはない。
社内に有線LANがないことで、いろいろと自由度が広がる。ノートPCとセットで固定席をなくすこともできるし、そもそも四角いデスクにこだわる必要性もなくなってくる。