ノークリサーチは1月6日、2015年のさまざまな調査の結果から、新規のIT活用領域に関する2016年の中堅中小企業におけるIT活用の注目ポイントと展望を発表した。IoT(モノのインターネット)やシェア経済、ドローンなどITの新活用領域と中堅中小企業がこれらをどのようにとらえるかをまとめた。
IoTはグローバル企業や国家レベルだけでなく、中堅中小企業も関心を持つ重要分野
(ノークリサーチ提供)
年商500億円未満の中堅中小企業全体に対し「今後3年以内に投資の可能性がある新たなIT活用領域」をたずねた結果から、IoTとソーシャル(SNSを活用した認知向上や顧客接点拡大など)に関する投資意向を抜粋して年商別に比較した。
年商規模の小さな企業層におけるIoTへの今後の取り組み意向はソーシャルと比較しても高くなっていることがわかる。
IoT関連ビジネスでは「分業体制」が有効だが、強固で信頼できるシステム基盤が不可欠
(ノークリサーチ提供)
IoTの取り組みの方向性として、昨今ではIT企業ではない一般の製造業などが他社と協力しながらIoTに向けた基盤構築に取り組む例も出ているという。
例えば、暖房機器を開発・販売するHEATECが中心となって推進する「OMOIKANetプロジェクト」では、暖房器具や各種のさまざまなセンサから得たデータを有効活用するための伝達/集積/分析する仕組みをオープンな基盤として提供し、規模を問わずさまざまな企業や個人が新たなビジネスを創造できる環境を実現することを理念としている(システム基盤としては日本IBMが提供するPaaS「Bluemix」を活用)。
ただし、中堅中小企業同士が「分業体制」を敷く場合には注意すべき点もあり、自社の製品/サービスにおける重要な構成要素を特定の他社に大きく依存してしまったことでビジネスの継続が困難になった例もある。分業体制自体は有効な取り組みだが、特にベンチャー企業同士の分業においてはビジネスの継続性を互いに十分確認しておくことが重要となるとした。
上のグラフでは顧客管理/ウェブサイト/ECサイトにおいてクラウドを活用している中堅中小企業に対して実際に直面した懸念事項などをたずねた結果のうち、他社のシステム基盤を利用することに関する項目をプロットしている。
全般的に回答割合が低いものの、従来多く聞かれた「他社と基盤を共有するのが不安」(マルチテナントであることに対する不安)と比べ、「クラウド事業者による障害が心配である」が多く挙げられていることがわかる。したがって、中堅中小企業が分業体制を活用してさまざまなIoT関連ビジネスに取り組んでいくためには強固で信頼できるシステム基盤の提供が非常に重要と考えられると説明している。