プロジェクト管理は誰がやるのか
さて、そんな中でユーザー企業は各種システム構築プロジェクトを動かすことになるわけだが、プロジェクトの組み方は一般的に3つある。
- パターン(1):1社のSIベンダーにすべて任せる
- パターン(2):1社のプライムベンダーに複数SIベンダーの管理を任せる
- パターン(3):複数SIベンダーを並列に組み合わせて自社が管理する
一見すると、パターン(1)、(2)は、自らが対応する相手が1社という意味でパターン(3)に比較するとリスクが低いように見えるが、SIベンダーも人財不足に苦しんでいる、という前提を置くと、実態は大きく変わる。
パターン(1)は、いわゆる「丸投げ」だ。管理責任はユーザー企業にあるものの、実際には要件を決めたらあとは任せる、というのが実態だ。しかし本来は、SIベンダーがプロジェクトの全ての領域に適切な人財を配置し、適切に動かしているか、ユーザー企業は自ら確認する必要がある。テクノロジが多様化している今、「プロジェクトに必要な人財を1社で全部そろえられるようなSIベンダーはいない」という現実は、理解しておく必要がある。
パターン(2)の場合も、ユーザー企業が対面するのは1社だが、プライムベンダーの関係会社あるいは長年の取引先がその下につくケースが多い。要は、プライムベンダーが最も扱いやすい会社でプロジェクトが構成される。言い換えれば、本当にプロジェクトにとって適切なスキルをもった会社が配置されているかどうかは、ユーザー企業にはわからないというリスクを抱えることになる。
加えて、プライムベンダーは外部リソースを下に抱える分、責任負担とリスク負担が増えるため、価格やコンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)などの値を高めに設定してくるのが普通だ。丸投げしたプライムベンダー以下がブラックボックス化した瞬間、プロジェクトコストも、リスクも高い危険なプロジェクトということになりかねない。
結局、どんなに自社がスキル不足であっても、プロジェクトを動かす以上、その品質と成果をコントロールすることから、ユーザー企業は逃れることはできないと考えた方がよい。