Googleのクラウドプラットフォームソリューションのグローバル責任者であるMiles Ward氏は、1月上旬のブログ記事で、「Google Cloud Platform」(GCP)はパブリッククラウド市場で価格と性能の両面で首位に立ったと主張した。Ward氏は以前Amazonのソリューションアーキテクチャチームに所属していたことがあり、クラウドの価格と性能については熟知している。
Ward氏は自身の主張の裏付けとして、比較表(図A)を掲載している。この表は、GCPが「Amazon Web Services」(AWS)よりも15%から41%安価であることを示している。Ward氏の記事は、AWSがEC2のインスタンス価格を5%引き下げた直後、そしてMicrosoftがそれに追随して「Azure」の価格引き下げを発表する前に掲載された。
GoogleがAWSに対して敵対的なアプローチを取るのは、これが初めてではない。Googleは競合他社に対してはあまり言及しないという同社のポリシーから外れて、GCPのAWSに対する優位性を示すことに、非常に積極的に取り組んでいる。興味深いことに、Googleは、パブリッククラウド市場でより立場が近い競合相手であると考えられているMicrosoft Azureについては無視し続けている。
しかし、Googleの主張は信用できるのだろうか。GCPは本当にAWSよりも優れた面を持っているのだろうか?この記事では、その点について検討してみよう。
Google Cloud Platformの性能、価格、イノベーション比較
市場への参入は遅かったものの、Googleが進めているクラウドプラットフォームのイノベーションは評価すべきだ。大規模なウェブインフラを運営してきた経験を持つ同社は、単純さと性能という、鍵となる2つの要素を重視した。
第1に、Googleはクラウドサービスの価格の複雑さをなくした。Amazonの顧客は、オンデマンド、スポット、リザーブドなどのオプションを購入する際の価格が複雑だと不満を述べることが多い。Googleは「プリエンティブルVM」や継続使用割引などを導入して、「Amazon EC2」の複雑な価格体系に対抗している。どちらの価格モデルも、Amazonの価格体系と同じ価値を、よりシンプルに提供できるという可能性を示すものだ。
GoogleがIaaS(Infrastructure as a Service)市場に参入したとき、同社の最初の目標は、より高い性能を提供することだった。「Google Compute Engine」(GCE)の性能は、Amazon EC2よりも高いスコアを獲得している。図Bは、IaaSと仮想プライベートサーバ(VPS)プラットフォームのベンチマークを提供する企業である、VPS Benchmarksが作成したグラフだ。
図B
提供:VPS Benchmarks
このテストでは、GCEのg1-smallのインスタンスを、Amazonの最新のサービスであるt2-smallのインスタンス、および以前からあるm1-smallのインスタンスと比較している。応答時間はほぼ同じだが、図Cと図Dのグラフを見れば、GCEの方が性能が高いことが分かる(使用可能なCPUの割合が高いほど性能が高い)。
図C
提供:VPS Benchmarks