海外コメンタリー

クラウドの価格と性能で勝利しつつあるグーグル - (page 2)

Janakiram MSV (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2016-01-22 06:30

 2015年、調査会社のEnterprise Strategy Group(ESG)は、AWSの価格体系をGCPの価格体系と包括的に比較したレポート(PDF)を公表した(このレポートはGoogleの委託を受けて作成された)。

 ESGはこのレポートで、「Googleは非常にシンプルで、リアルタイムで決定されるオンデマンドの価格体系を持っており、この価格体系は自動的に経費が低く抑えられるように作られている。顧客は、継続利用の状況に基づいて、自動的に適用可能な割引が適用されることを知っている。AWSの価格体系は複雑で、ESGラボがGCPとAWSのオンデマンドインスタンスの価格を比較した分析では、同等のVMを比較すると、GCPには平均で49%の価格優位性がある。Googleはより安い価格と、複雑さが少ない価格体系を提供している」と述べている。

 割引を適用せず、今後の値下げを考慮した場合のオンデマンドインスタンスの価格の比較では、GCPの価格の方が、AWSのリザーブドインスタンスの価格の最善のケースに比べ、44%低かった。

 このESGのレポートでは、価格体系に関する基本的な違いと、顧客が受けることができる費用面でのメリットを図にまとめている(図E)。

 市場の多くの競合企業は、AWSと同等の機能を提供しようと機能面の強化を進めているが、Googleはイノベーションによって競合他社をリードしている。GCEに最近導入された機能の1つである「カスタムマシンタイプ」は、顧客が必要なVMの構成を自分で正確に定義できるというものだ(図F)。これは、IaaSプロバイダーにとっては必要性の高い機能だった。


図F
提供:Google

 Amazonの顧客の中には、24種類以上もあるEC2のインタンスタイプから、どれを選べばいいか途方に暮れている者もいる。インスタンスのファミリとタイプの幅は広いが、顧客が必要としているVMと完全に一致したタイプを選ぶのは難しい。GCEのカスタムマシンタイプを使えば、スライダでCPUのコア数や、VMに必要なメモリ量を指定することができる。このサービスでは、コア1つやメモリの単位ごとに価格が決まっている。

まとめ

 クラウドの選択肢が多いのは、顧客にとってはいいことだ。今では、AWS、Azure、GCP、そしてIBMの「Softlayer」の中から選ぶことができるようになった。顧客にとって、費用だけでなく、性能やさまざまなオプションがサポートされているかどうかを調べることは重要だ。

 大規模なウェブインフラを運営し、イノベーションを起こしてきた経験を持つGoogleは、この競争に挑戦者として挑んでいる。Googleが提供する機能の中でも、プリエンティブルVM、継続使用割引、カスタムマシンタイプの3つは注目に値する。Googleはこれらの機能によって、顧客がクラウドの価格モデルの複雑な迷宮に迷い込まずに済むようにしている。今後同社に求められるのは、企業の意思決定者や最高情報責任者(CIO)との対話を深めることだが、筆者の個人的な見解では、同社は正しい方向に向かっている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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