IDC Japanは1月19日、個別設計サーバに関する国内ユーザー調査結果を発表した。
同調査は、一般企業がODMダイレクト(Original Design Manufacturerが直接ユーザー企業に出荷するサーバ)などの個別設計サーバに対してどのような認識を持っているのか、今後採用の可能性があるのか、情報サービスを提供する企業と、それ以外の企業(一般企業と記述)に分けてユーザーを分析している。
調査によると、個別設計サーバに対するニーズは一般企業にも存在するが、ビジネス機会は必ずしも大きくなく、一方でクラウドサービスプロバイダーからの需要は今後も堅調に推移するとみられるという。
要求仕様に合致しなかった項目:一般企業(情報サービス以外)(IDC提供)
個別設計サーバとは、ODMダイレクトのようにマザーボードや筐体を特定の顧客や用途向けに設計したサーバや、オープンソースの設計に準拠したサーバを指す。
サーバの調達に際して、要求仕様に合致する機種が見つからないケースの有無について質問したところ、「要求仕様に合致する機種が見つからず、スペックダウンして調達した、もしくは調達を中止したことがある」と回答したのは、259社中41.3%に相当する107社。
さらに、この107社の88.8%にあたる95社が「要求仕様に合致する個別設計のサーバを供給できるベンダーがあれば採用したい」と回答している。
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しかし、要求仕様に対する詳細をみると、合致しなかった項目として20%以上の回答があったのは「CPUの単体性能」「メモリ容量」「CPUの搭載数」「採用メモリの種類」の4項目に限られた。
個別設計サーバによって差異化し得る「消費電力(省電力性)」「電源仕様」「内蔵ストレージの容量やスロット数」「搭載可能な内蔵ストレージ(HDD、SSDなど)の種類」「動作条件(温度、湿度など)」「障害検知機能」といった項目が要求仕様に合致しなかったとする回答は全て15%以下と、相対的に低かった。
x86サーバの大半は搭載するx86プロセッサやチップセットの供給をインテルに頼っており、サーバベンダーが個別設計サーバを提供することで自ら解決できる項目では、ビジネス機会が相対的に小さいと考えられる。
また、ODMがODMダイレクトなどの個別設計サーバを一般企業に対して拡販しても、その費用対効果は低い可能性が高いと考えられるという。
国内企業がベンダー選定において最重要評価項目として回答した項目で突出して多かったのは「ベンダーの信用力(業界実績、財務体質、継続性など)」であり、国内市場においてはODMよりもサーバベンダーのほうが一般企業における実績が多く長期にわたり事業展開している上に、さらに財務状況を日本語で開示してきたことから、より信用力が高いと一般企業が認識していると想定される。
同社エンタープライズインフラストラクチャ グループマネージャーの福冨里志氏は、次のようにコメントしている。
「一般企業における市場機会は必ずしも大きくはないが、クラウドサービスプロバイダーからの個別設計サーバに対する需要は今後も堅調に推移し、2019年には国内x86サーバ市場における個別設計サーバの出荷台数は10万8000台(構成比21.9%)、出荷額は363億4000万円(同12.6%)になる」