ストレージベンダーから見える“ソフトウェア定義ストレージ”の存在価値(後編)

田中好伸 (編集部) 森英幸 2015年08月10日 12時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 サーバ、ネットワークとソフトウェアを使ってサーバベースのストレージを構築する、ストレージの管理インターフェースをソフトウェアで抽象化するなど、「ソフトウェア定義ストレージ(Software Defined Storage:SDS)」の動きが活発化している。そこでZDNet Japan編集部では、ITベンダー4社のストレージビジネス担当者にお集まりいただき、SDSの現状について意見を交換していただいた。

 果たしてSDSはストレージの主流となるのか。SDSに取り組むとして、どの部分から導入を進めるべきか。SDSを検討している方は、座談会で交わされた意見をぜひご参考にしていただきたい。

 座談会に参加していただいたのは、デル ストレージ・ビジネス本部長の小島由理夫氏、富士通 プラットフォーム技術本部 プロダクトソリューション技術統括部シニアディレクターの荒木純隆氏、日本アイ・ビー・エム IBMシステムズ・ハードウェア事業本部 ストレージ・システム事業部長の波多野敦氏、EMCジャパン マーケティング本部フィールドマーケティング部プリンシパルマーケティングプログラムマネージャーの若松信康氏の4人。

前編はこちら

サイロ化という課題

――ストレージを含めてシステムのサイロ化という問題が認識されるようになっています。このサイロ化はどう解決すればよいでしょう。

波多野氏:サイロ化の問題は明らかにあります。ビジネス部門は、IT部門のサービスと外部のサービスを常に比較するようになっています。数分で手に入るか、料金はどうかといったときにIT部門が外部のサービスに太刀打ちできない。そういう状況に陥る最大の原因がサイロ化で、それを解消しないことにはパブリッククラウドレベルの使い勝手は実現できません。

小島由理夫氏
デル ストレージ・ビジネス本部長 小島由理夫氏

小島氏:サイロの対義語は、コンソリデーション(集約、統合)になるかと思いますが、致命的なトラブルが発生したときの影響範囲が拡大するなど、コンソリデーションにもデメリットはあります。ユーザー企業としては、業務ごとにバランスの取れたサイロ化も意識しなければならないでしょう。サイロ化からの脱却が目的ではなくてコスト削減や運用の簡素化が目的なので、SDSの適材適所の活用が重要になります。

 それから、コンソリデーションでコスト効率の向上が得られると言っても、対パブリッククラウドで考えるとボリュームがまったく異なります。一企業が社内のリソースをいくらコンソリデーションしても、コスト競争でパブリッククラウドに立ち向かうのは難しいと思います。

波多野氏:ハードウェアへの依存をソフトウェアによる抽象化で切り離せないかというチャレンジがずっと続けられていて、ストレージもようやくその時代になったわけですが、現在は完全には切り離せていません。完全に切り離すことができれば、サイロ化は徐々に解消されるでしょう。今はその中間地点といったところではないでしょうか。

荒木氏:サイロ化の程度は、IT投資の仕方にもよるかと思います。システムごとに予算をつける形だと、どうしてもサイロ化しやすくなります。そこをガバナンスを効かせて、例えばシステムをサービスレベルごとにグループ分けして、グループごとにコンソリデーションするように改めれば、改善できるでしょう。ただし、ストレージはサーバに比べるとベンダーへの依存度が高い製品ですから、移行や統合に際して一段階障壁が高いことは否めません。

小島氏:IT予算を誰が一番持っているか、という点もサイロ化に関係しています。予算がIT部門に集約されていればコンソリデーションを進めやすいでしょうが、そういう企業ばかりではありません。

 例えば、大手製造業のお客様が製造ラインの有効稼働、歩留まり率向上のためにIoT(Internet of Things:モノのインターネット)のシステムを導入するときに、工場の建設費に予算が組み込まれているといったケースがあります。こういうケースではIT部門の統制が及びませんからサイロ化が進行しますが、IT部門が準備する共通IT基盤がこのようなIoTのニーズに迅速に対応できなければ、ユーザー部門は本業での生き残りのために独自にシステム構築する必要があるでしょう。

波多野氏:当社のユーザー企業の基幹系システムでは、サイロ化問題に古くから取り組み、サーバとストレージの仮想化による統合が進んできました。一方、ビッグデータなどの新しいITの領域では、ビジネス部門が自分たちの予算でクラウドなどを使って自分たちがやりたいことをやるというのが流行っていて、むしろサイロ化が進行しています。早晩、基幹系システムで起こったのと同じように、サイロ化の無駄に気づいて集約し、基幹系システムやパブリッククラウドときれいに連携できるようにしようという流れになると踏んでいます。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]