Linuxの開発者の推移
The Linux Foundationが毎年発行している「Linuxカーネル開発:それはどれほどの速度で進み、だれがどのように作業し、だれが支援しているのか」には、カーネル開発者の動向が記述されています。2008年以降、毎年公開されているレポートで、最新版は2015年2月に公開されました。
このレポートの中で、「不明」と「なし」のグループを含めた上位10社が、カーネルに対する貢献の約57%を占めています。「なし」と表示されているのは、企業からの経済的支援がなく、個人ベースで開発活動に参加していることが分かっている開発者です。また、所属企業を特定することができなかった開発者は「不明」と表示しています。
2015年のレポートで注目すべきなのは、「不明」で示される開発者のすべてが企業の支援を受けていないとしても、カーネル開発の80%以上は、企業の正規の仕事として行われているということです。さらに興味深いことに、企業の支援を受けていない開発者からの貢献は、長期にわたって緩やかに減少しています(2012年版の報告では17.9%、2013年度版は13.6%、そして今回は12.4%)。
Linuxカーネル開発者の推移
このように、Linuxカーネルは業務の一環として開発されており、その傾向は年々増しています。オリジナルのドキュメントには、カーネル開発者が供給不足の状態にあるため、そのような技術力のあるエンジニアは、職を探す苦労もなく、就職できると記述されています。そうではなく、業務で利用されるようになったことや下表にあるように、カーネルバージョンが進むにつれ、ファイル数やソースコード行数が増えていっている状況を考えると、ボランティアでは追いつかなくなってきたと考える方が自然だと思います。
カーネルバージョンごとの各種データ