Windows 10は、Windows 8と比較されることで得をしているところもある。Windows 8に対するニーズが低迷したため、Canalysのアナリストは2014年に「Microsoftは、Windows事業を立て直すために思い切った手を打たない限り、失速するリスクを負っている」と警鐘を鳴らしていた。
かなりの割合の企業がWindows 10を試験的に導入している一方で、大規模なOSアップグレードの管理作業は複雑であるため、企業における導入ペースはコンシューマーの導入ペースよりも一般的に遅いという点を考えると、多くの企業で導入が進むまでにはまだ時間がかかりそうだ。Spiceworksのデータによると、Windows 10を試験的に導入している企業のうち、3台以上のデバイスで同OSが稼働しているのは約40%にとどまっている。
またSpiceworksは、Windows 10マシンを少なくとも1台保有しているという企業の多くが、中規模あるいは大規模な企業であることも明らかにしている。同OSを試験運用している企業のうち、従業員数が500人を超える企業は31%ある一方、50人以下の企業は10%に過ぎない。

提供:Spicworks
Tsai氏は「多くのITプロフェッショナルとの対話から、規模が大きくない企業はOSの移行に割けるリソースが少ないため、多くの中小企業はハードウェアやアプリケーションの互換性を十分にテストできる時間とマンパワーを確保できるまで、Windows 10へのアップグレードを見合わせる可能性があるということも分かっている」と述べている。
Windows 10のリリース前に、500人以上のITプロフェッショナルを対象に実施したSpiceworksの調査では、Windows 10の社内への導入に強い関心を抱いていると回答した人の割合はおよそ50%にのぼっていた。
新たなPCハードウェア上での「Windows 7」やWindows 8のサポートを終了するというMicrosoftの決断は、新しいWindows 10搭載PCのOSをそれ以前のバージョンのOSにダウングレードする行為を企業に控えさせるうえで役立つだろう。過去には、自社のハードウェアを標準化するためにOSのダウングレードを実施する企業が散見されていた。
Microsoftはまた、Windows 10がコンシューマーに急速に普及しているとともに、世界中の2億台を超える端末で稼働するようになったと発表している。
こういったペースでの普及には、コンシューマーにアップグレードを促すMicrosoftの戦術も貢献していると言えるだろう。例を挙げると同社は最近、家庭向けPCのOSとしても普及しているWindows 7や「Windows 8.1」に対し、「推奨される」更新として自動的にWindows 10への無償アップグレードの準備を開始するという積極的なアプローチを始めている。この動きは、Windows 10を2018年までに10億台のデバイスに搭載するというMicrosoftの目標に向けた取り組みの一環だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。