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構造化データだけでは見えない--オープンテキストの戦略的情報活用法

末岡洋子 怒賀新也 (編集部)

2016-03-10 17:37

 新しい課題ではない――情報の戦略的活用についてのこだわりを持つのが、エンタープライズ向けの情報管理EIM(Enterprise Information Management)を専門とするカナダのOpenTextだ。

 大学の検索エンジン開発企業としてスタート、コンテンツ管理がメインとなり、その後「非構造化データ」をキーワードにBPM(ビジネスプロセスマネジメント)、といった領域に拡大してきた。


オープンテキストの代表取締役社長、早川典之氏

 2月初めに発表した最新の四半期決算(2016会計年第2四半期)ではアナリストの予想を上回る4億6530万ドルを売り上げ、前年同期比6.2%増と順調だった。

 日本でオープンテキストの代表取締役社長を務める早川典之氏にコンテンツ管理の現場の状況や課題について聞く。早川氏はオープンテキストが買収したエクスパダイト、GXSの代表取締役社長も兼任している。

--なぜエンタープライズ情報管理(EIM)が必要なのか。

 企業の中の80%以上が非構造化データと言われています。ビックデータがブームですが、大量のデータを分析するためには構造化データだけを利用して傾向値を探ったり分析しても限界があります。

 重要な情報は隠れている非構造化データにあり、非構造化と構造化の両方を分析することではじめて企業の今後の姿、市場トレンド、売り上げを伸ばす方法などを導き出すことができる――この認識は進んでいます。

 非構造化データをどう管理するかが課題となり、両方を分析して企業の方向性について重要な意思決定を行うのを支援するのがEIMです。わたしは以前、構造化データを管理するデータベースを提供する(SAPに買収された)Sybaseにおりました。非構造化データの重要性を認識して、2013年にオープンテキストに入社しました。

――非構造化データの活用はどのぐらい進んでいるのか。

 非構造化データといっても、よく使われているMicrosoft WordやPower Point、AdobeのPDFのほか、写真や動画もあります。非構造化データはデジタル化が難しく、ドキュメント、映像データ、静止画など、企業が持つさまざまなフォーマットのデータをデジタル化し、属性を仕分けます。メタデータで管理して、必要なものをすべて集めてその中で意思決定をしていきます。

 現在多いのは、分析できるデータだけを一つのグループ、部門、課で分析して結論を出そうとする動きです。ですが、それだけでは相関関係が分からないし、分析も浅くなってしまいます。

 つまり、分析結果が本当に正しいものかどうか分かりません。さらには、それをフィードバックできないと、自分たちの市場や自社自身の成長も見えにくくなっていく。OpenTextはここを補完できます。

構造化データだけでは結果が見えない

 市場で注目を集めているのは、どのように分析するか、傾向値を求めるためにどのようなパラメータを使うかなどで、われわれの技術は表に出てこない地味な分野です。ですが、分析しているデータが全データの2割となると、求めていた結果は得られない。

 OpenTextは目立たないが重要な役割を受け持っているのです。どういう形で会社が成長していくのかを判断する基準に使ってもらう、これがOpenTextの最大の目標です。

「自動化」を阻んでいる稟議、帳票

――どのように使われているのか、事例があれば教えてほしい。

 数字としては、ERPなどは会社の現場をかなり明確に表しています。ところが、実際にビジネスをしようとすると、最後は人間が判断しています。

 例えば、注文時にERPから直接データを取り出し帳票を自動作成し、それを発注書として出すとする。その間には発注する側と購買する側がそれぞれ稟議をもらい、納期を確認して……という書面のプロセスがあります。

 書面とトランザクションが同時に動いているのです。OpenTextのソリューションを利用することで、非構造化データを処理し、帳票化し、帳票と注文書をEDIやFaxで送り、併せて決済の稟議書もデジタル化してまわし、さらにBPMでプロセスを管理することができます。

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