Akamaiは、Linuxを標的としたマルウェアで構築されたボットネットによる、分散サービス妨害攻撃(DDoS攻撃)が大規模化していると警告を発した。
同社のセキュリティインテリジェンス調査チームは、発表した脅威アドバイザリで、「BillGates」と名付けられたトロイの木馬によるボットネットを、「高」リスク要因であると分類した。この名前が付けられたのは、このマルウェアの作者が、WindowsではなくLinuxを標的にしているためであるようだ。
Akamaiによれば、この種のボットネットによる最大の攻撃は、2015年末に起こった。
アドバイザリには「BillGatesボットネットからの攻撃トラフィックや、その他のさまざまな攻撃ベクトルを含め、これまでに観測された最大の攻撃キャンペーンは2015年12月30日に起こったものであり、分散的に発生したトラフィックの帯域のピークは、当社のスクラビング(洗浄)センター全体で約308Gbpsだった」とあり、攻撃の威力は高まりつつあるという。それが、このマルウェアのリスク要因が「高」に分類された理由だ。
アドバイザリによれば、このボットネットはかなり大きくなっており、100Gbpsを超える「攻撃トラフィック」を発生させられる規模になっている。また、ほかのDDoS攻撃の仕組みと組み合わせて使用されている。
Akamaiによれば、これらのボットネットが拡大したのは、XORボットネットの閉鎖後であり、「マルウェア攻撃者は、同じ標的のグループに対する激しい攻撃を継続するために、異なる手段や異なるボットネットを使い始めている」という。
アドバイザリでは、「Akamaiによる過去6カ月間の観測でこのような活動の認識が得られたことにより、このアドバイザリを公開した」と述べられている。
同社は、これらのボットネットはICMPフラッド、TCPフラッド、UDPフラッド、SYNフラッド、HTTPフラッド、DNSリフレクションなどを含むさまざまな攻撃ベクトルを使用し、アジア地域で発生したXORボットネットに似た手法で、標的に対し攻撃を仕掛けていると警告している。
システムがマルウェアに感染すると、DDoS攻撃や、ポートやサービスを開くことを含むさまざまな攻撃機能が実行可能になり、感染したシステムが完全に乗っ取られ、さらなる攻撃の起点として使用される可能性もある。
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この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。