Microsoftは「Office 365」や「Bing」「Xbox Live」といったファーストパーティサービスの多く(もしかするとすべて)を「Microsoft Azure」に移行しようとしている。本記事ではその理由と、同社にとっての移行の意味を考察する。
Microsoftの決算発表でアナリストらが目を向けるのは、常にと言っていいほどクラウドだ。このため、同社の考える「クラウド」について、本記事であらためて定義することにしたい。
同社の幹部らは、四半期決算発表後の電話会議で「Intelligent Cloud」について多くを語っている。この事業区分には、Azure(パブリッククラウド)や、プライベートおよびハイブリッドのサーバ製品およびサービスが含まれている。その大半を占めるのは、クラウドおよびエンタープライズ分野の製品やサービスとなっているが、それらの多くは厳密に言えば、「Windows Server」や「SQL Server」「System Center」、Azure、「Enterprise Services」のようにクラウドとは言えないものだ。
Microsoftは2016会計年度第3四半期決算発表において、Intelligent Cloud事業の売上高が前年同期比3.3%増の61億ドルだったと述べた(なお、コンシューマー向けおよび企業向けのOffice 365サービスは、Intelligent Cloud事業ではなくProductivity and Business Processes事業に計上されている)。
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2018会計年度中に年間ランレートがあわせて200億ドルに達すると同社が見込んでいる「商用クラウド」事業には、Azureや、企業向けのOffice 365サービス(「Exchange Online」や「SharePoint Online」「Skype for Business Online」)、「Dynamics CRM Online」、「Enterprise Mobility Suite」(EMS)の売上が含まれている。一方、オンプレミスのサーバや、クラウドホスティング、その他のコンサルティングサービスは含まれていない。
Microsoftによると、2016会計年度第3四半期における同社の商用クラウドの年間ランレートは100億ドルだという。同社は決算を発表した米国時間4月21日、ランレート200億ドルという目標の達成に向けて順調に進んでいると再び述べた。
さらにややこしいことに、商用クラウドに分類されるものすべてがAzure上で稼働しているわけではない。企業向けおよびコンシューマー向けのOffice 365や、Bing、Xbox Liveを含むMicrosoftの独自サービスの多くはAzureをバックボーンにしていない。これらはいまだに、独自のカスタムスタック上やデータセンター内で稼働している。