第1段階にある企業の従業員は、多くの場合自前のデバイスを使って独自の判断で新たなテクノロジを学び、導入するが、組織にリスクを嫌う文化があるため、そのテクノロジを同僚や経営陣に紹介することには消極的な態度を取る。顧客に関する戦略やプロセスは各部門で分断され、真のデジタル変革の鍵となるグループ間の協力は行われていない。
Solis氏は、「どんなビジネスリーダーにとっても重要なことは、最高情報責任者(CIO)であれ、最高マーケティング責任者(CMO)であれ、いずれ結局は協力することになるということだ」と述べている。
2.デジタル変革への動きが存在し、積極的に認知される段階
第2段階にある企業は、新しいテクノロジやデジタルのトレンドが「存在し、積極的に認知される」段階にある。初期導入者が新しいテクノロジを導入し、テストし始めている場合があり、これが試験的なプログラムとして受け入れられることもある。これらの破壊的技術の導入は、経営陣のメンバーにも認知されていることが多い。試験的なプログラムや実験は進められるが、企業内の各部門は、多くの場合、依然として独立して動いている。
第2段階の企業は、顧客の体験にも関心を持ち始める。ソーシャルメディアやCRMなどのツールによって、顧客との関与が容易になり、他のプラットフォームによって組織内の協力も増える。この段階では、チェンジエージェントは、同僚に適切な教育を施し、新興デジタルツールを活用する能力を身につけさせようとし始める。
3.公式化される段階
第3段階では協力が深まる。チェンジエージェントが初期導入者たちと協力しはじめ、その過程で分断されたサイロを破壊していく。組織として公式化された取り組みの成果によって、効果を測定するための指標が設けられるとともに、データとアナリティクスが多くの部門で意思決定に影響を与え始める。
ここで利用されるデータの多くは顧客のデータであり、従来の顧客体験とは異なるデジタル顧客体験の重要性が議論され始める。デジタル変革の推進派は、デジタル顧客のカスタマージャーニーマップを作成し始める。
「カスタマージャーニーマップの考え方は、現在未解決の問題の1つであり、今後台頭する最大のトレンドの1つでもある。カスタマージャーニーマップの発展を理解するために、機能横断型のグループが設けられる」とSolis氏は述べている。
この段階では、デジタル変革のためのビジョンのたたき台が必要になり、また、変革を全面的に支援してくれる経営幹部を探し始める必要もある。古いシステムが新しいツールで取って代わられるにつれて、企業のあらゆるレベルで教育とトレーニングが浸透し始める。