PGEConsの意義
PGEConsが前述のような情報を公開し続けている意義についてユーザー目線で考えてみましょう。
単なる情報収集をするだけであれば、インターネットに氾濫している情報で十分かもしれません。しかしながら、インターネットに氾濫している情報はそもそもその出所が明らかでない場合が多く、信ぴょう性にも欠けます。また、単に情報収集をするだけであれば、「ユーザー会」で十分だという人もいるかもしれません。しかしながら、「ユーザー会」は個人単位での参加になります。
個人での活動の成果を業務で活用することに抵抗があるという場合も考えられますが、企業として参加するPGEConsは、業務としての活動になり、そのような抵抗もありません。このように業務としてのコミュニティ活動が、OSSそのものだけではなく、周辺を巻き込んだエコシステム全体に与える影響は大きくなってきています。
PGEConsの参加企業の中にも、すべての情報を公開することについて「ノウハウの流出」を懸念する声があります。しかしながら、この活動の成果をいかに自社のビジネス上のアドバンテージにするかが重要で、それができなければ、このような活動に参画する意味はありません。検証をメインの活動領域としているコミュニティでの成果をいち早く自社のビジネスに取り込み対応することが最も重要です。

最近、OpenStack関連のさまざまな人とお話しをしていると、OpenStackではエンタープライズでの運用を想定した検証やレポートが少なく、これがエンタープライズでの適用が少ない原因の1つだといった意見を聞くことが多くあります。興味はあるがなかなか導入に至らないのは、実運用での問題点が明らかになっておらず、1社だけで検証するのは難しいということのようです。
現状、OpenStackは技術的にも発展途上であり、実運用するのは相当な技術レベルを要求されるためそう簡単ではないかもしれませんが、PGEConsのように実運用を想定した検証を実施する団体ができて、その成果をオープンにするような活動ができれば、もう少しエンタープライズでの採用も促進されるのではないかと思います。
PGEConsは、4月27日に2015年度の活動成果報告を公開しましたので、興味のあるかたは、是非ダウンロードしてご覧いただければと思います。また、5月13日(東京)、5月27日(大阪)にてこれらの成果の発表会も開催されますので、ご参加いただければより詳しいお話しも聞くことができるのではないかと思います。
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