失敗体験を教育に組み込む
失敗体験を教育に組み込む――。実はそんなことを会社でやっているところもある。工場用部品、住宅用部材を製造する太陽パーツでは「失敗」に関する面白い取り組みをしている。「大失敗賞」として失敗した社員を表彰する制度だ。もちろんあえて失敗を奨励しているわけではない。しかし失敗を叱責することで社員が萎縮し、新たなチャレンジをしようという意欲を阻害したくないというのが、同社の考えだ。
失敗がなぜ有効なのか、もう少し詳しく説明してみよう。 失敗すると、その方法は間違っていたことを証明する。ならば別の方法をとろうということになる。これは大きな目でみれば、成功に1つ、近づいたということだ。Thomas Edisonが言うところの失敗は成功の母である。Plan-Do-See(計画、実行、評価)といったフレームワークもこの考えを取り入れたものであることは言うまでもない。
その流れを文字化するとわかりやすい。
- 実践
- 失敗
- 軌道修正
- 実践
- より良い失敗
- 軌道修正
- 手応えのある成果
この(2)から(6)の間が、実は最も重要な体験になる。(2)から(6)を繰り返すことで、早く(7)へと到達させられる感度、資質が育ってくる。アールト大学では、このプロセスを教育に取り込んでいるというわけだ。
正解を暗記するだけの日本の教育では、この資質が育成されない。最初から7を教えてしまうと、どう7へと近づいていいかが分からないということになる。
シリコンバレーから「リーンスタートアップ」(Lean Startup)という言葉が生まれた。スタートアップのような正解のない分野においては、早く市場に商品を出し、(2)から(6)を繰り返しながら、(7)へと近づくということをビジネスモデルにするべきだと言うビジネス手法だ。