Amazon Web Services(AWS)の英国およびアイルランドのマネージングディレクターであるGavin Jackson氏は「AWS Summit 2016」において、英国地域の業務を拡張する計画を継続すると述べるとともに、顧客に対して英国でのイノベーションを継続するよう呼びかけた。

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英国は最近、欧州連合(EU)からの離脱を国民投票で決定したが、AWSの英国地域におけるクラウドサービスの拡張計画に変更はないという。Jackson氏は英国時間7月7日、ロンドンで開催されたAWS Summit 2016の場でこのように発表するとともに、顧客に対して英国地域への投資を継続するよう要請した。
Jackson氏は「当社は2016年の終わりか、2017年の初めに英国リージョンを新たに設けるという計画を引き続き推進していく」と述べるとともに、「この場にいる皆さんへのメッセージは、平静を保ち、普段通りに、AWSを用いたイノベーションを続けていってほしいというものだ」と述べた。
AWSの英国リージョンを新設するという計画は、2015年11月にAmazonの最高技術責任者(CTO)Werner Vogels氏によって発表された。英国リージョンは、ドイツのフランクフルトとアイルランドのダブリンにデータセンターが設置されている既存のリージョンを補完するものであり、2016年中、もしくは2017年早期に計画が完了する予定となっている。
「ブレグジット(英国のEU離脱)の決定後、私は顧客の不安を払拭するために、当社が英国を、揺るぎないイノベーターであり、人材の宝庫であり、テクノロジのトレンドにいち早く対応する国だと見ていることを伝えたかった」(Jackson氏)
Amazonは、2016年に英国で2500件の新規雇用を創出するという約束を果たすだけでなく、英国にさらに1000件の正規雇用をもたらすと発表した。
英国担当のマネージャーを務めるDoug Gurr氏は「Amazonは英国で大規模な投資を行ってきている。これにより、シリコンバレーと同等の雇用を英国の中心地にもたらしている」と述べたうえで、これらの雇用が機械学習の専門家やデータサイエンティストから、クラウドコンピューティングの専門家やソフトウェアエンジニアに至るまでの幅広い範囲に及んでいると付け加えた。Amazonはケンブリッジとロンドン、エジンバラに研究開発拠点を置き、「Amazon Prime Air」のドローンプログラムから、「Alexa Voice Service」(AVS)に至るまでのさまざまなプロジェクトに取り組んでいる。
ただ、Jackson氏が示したような英国への信頼を、その他の多くの企業も抱いているとは言えない。ブレグジットによって混乱や不透明感がもたらされた結果、多くの企業は英国におけるビジネスがどのようなかたちで変化するのかという懸念を抱いている。