ドイツでは、フラウンホーファー協会が、明確なグランドデザインに基づき、公的研究機関を中心とした大学や産業界との連携によるイノベーションを推進する産学の橋渡しの機能を担っている。フラウンホーファー協会では、産業界との連携を促進するための評価基準や予算配分モデル、技術移転・ベンチャー支援など充実した体制を整備しており、「フラウンホーファーモデル」として、評価されている。
国内のオープンイノベーションの事例では、オリンパスやKDDI、小松製作所などの事例が紹介されている。オリンパスでは、「オープンプラットフォームカメラ(Open Platform Camera:OPC) Hack & Make Project」という自社の技術をオープンにし、デベロッパー、クリエイター、ユーザーと共に新しい写真体験を開拓するプロジェクトを進めている。
このプロジェクトでは、オープンプラットフォームでカメラのアクセサリーやアプリケーションを共同で開発を進め、ハッカソンやアイデアソン、ワークショップを開催し、自社製品のファンとコミュニティの創出、コミュニティを通した新たな価値の創造に向けて、取組んでいる。
海外の事例では、GoogleやSamsung、P&G、Philipsなどの事例が紹介されている。P&Gでは、2001年に、自前主義からの脱却を掲げ、外部連携によるイノベーション比率を50%まで高める目標を設定した。
P&Gでは、オープンイノベーション専門部署を設置し、7000人の研究者やサプライヤーのネットワークなど自社の研究開発資産と外部の技術を有機的に融合。革新的なサービスや製品を生み出す仕組みを創造し、現在では、オープンイノベーション人材が育成され、ノウハウが蓄積・共有されたことで、オープンイノベーションが企業文化として醸成されている。
国内外の事例をみてみると、オープンイノベーションの推進には、経営増によるトップダウンやボトムアップ、社内文化の醸成や人材育成の組織づくりに加えて、オープンイノベーションを推進する専門部署の設置など、多様な仕組みの組み合わせを活用している。
出所:オープンイノベーション白書 2016.7.11 オープンイノベーション推進事例