Fintechの正体

激動のFintech--通貨のデジタル化を検討するということ

瀧 俊雄 小船井健一郎 山田竜司 (編集部)

2016-08-05 07:30

2016年後半に向けた動き

 2016年前半はいわゆる「FinTech法」が通ったものの、実態に即した議論はこれからという段階です。そうすると後半にむけてどうするかというなかで、いくつかの動きが生まれました。

有識者会議と決済高度化官民推進会議

 1つは、筆者も委員として参加している金融庁の「フィンテック・ベンチャーに関する有識者会議」です。ここでの委員のメンバーは、金融産業やベンチャーに詳しいメンバーが中心となっています。ここではFintechの制度改定の詳細をつめるというよりは、エコシステム、つまり、人材やビジネスモデル、投資の創出に論点を向けた内容となっています。見方を変えれば、経済産業省が実施してきた新規産業創出の議論が金融庁の舞台でおこなわれるという新しい取り組み方ともいえるかもしれません。


金融庁資料

 また、金融庁は6月に「決済高度化官民推進会議」が生まれました。決済高度化ワーキング・グループの、その後の工程を進めていく場になります。ワーキング・グループ報告書で書いたことを「どういうレベルでいつまでにやるのか」という整理をしているというのが実情です。

 有識者会議は産業のベースを広げるための場で、官民推進会議は議論を収束させてアクションを見守るための場です。また、それ以外にも個別のトピックについて、複数の作業部会が設定されていくものとなります。

 また、経済産業省においても、FinTech検討会合という、FinTech研究会の後継となる会議も設定されており、こちらもより実務的な課題や社会へのインパクトを探る場として議論が進んでいます。

中央銀行とFinTechのかかわり

 今年4月1日に、日本銀行はFinTechセンターを立ち上げました

 日本銀行は、FinTechに対するポジションとしては、金融庁とは異なり、通貨の番人として、新しいテクノロジの前提のもとに、金融システムの新しいあり方を考えていく、という役割をもっています。そして、FinTechセンターでは、スタートアップが応募する形で、さまざまな新しいプレイヤーによる発表が行われており、オープンに話せるパブリックな場が生まれたのは素晴らしいことだと思います。

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