基幹インフラに対する攻撃に備えよ
さらにTan氏が「東京オリンピックで表面化するセキュリティリスク」として挙げるのが、IoT(Internet of Things)や基幹インフラを狙った攻撃だ。すでにロンドンオリンピックでも、開会式への電力供給に対する監視システムを攻撃する試みが確認されている。こうした物理的な被害をもたらすサイバー攻撃が、ロンドンオリンピックとは比較にならないぐらい多発するというのがTan氏の見方である。
「2020年にはスマートシティなど、社会インフラの中にICTが浸透している。例えば、シンガポールではドローンを使って郵便を配達する取り組みも始まった。こうしたインフラが攻撃されれば、オリンピックとは関係のない次元で物理的な被害が発生する」(Tan氏)
また、政治的な意思表示を目的とした「ハクティビズム」や、サイバーテロの可能性も懸念されている。この点についてTan氏は、「2020年の状況がどうなっているのがわからない」としながらも、「日本は治安がよく、公共インフラも整備されている。だからこそ、攻撃者にとっては(攻撃が成功すれば)インパクトは大きい」と警鐘を鳴らす。
こうした攻撃を未然に防止するためには、早期からの対策とガバナンスを確立することだ。Tan氏は、「あらゆる攻撃を想定し、事前のテストを繰り返すことが重要だ。インシデントに対してすぐに“手が動かせる”人材を確保/育成するのが緊喫の課題」だと指摘している。

ちなみにBTではロンドンオリンピック時に構築したサイバーディフェンスプラットフォームを、一部改良して販売している