Rackspaceは米国時間8月26日、投資会社Apollo Global Managementが総額43億ドルで同社を買収することで、両社が合意したと発表した。Rackspaceはこの買収によって株式非公開企業となり、クラウド顧客向けのサービス事業の進展を狙う。全体的に見れば、同社株式の非公開化はさまざまな点で理にかなっている。
Rackspaceによると、取引は第4四半期に完了する予定だという。同社の株主はApollo Global Managementから1株あたり現金32ドルを受け取ることになる。
Rackspaceが株式の非公開化に向けて交渉しているという報道は以前からなされていた。Rackspaceは、IaaS環境構築用の基盤ソフトウェア群である「OpenStack」のリリースに貢献したが、Amazon Web Services(AWS)やGoogleのクラウド、そして「Microsoft Azure」といった大規模なサービスを相手に苦戦を強いられていた。とは言うものの、Rackspaceは他のクラウドプロバイダーを利用している顧客に対するサポートに軸足を移している。企業がより多くのワークロードをクラウドに移行するにしたがい、さまざまなサポートが望まれるようになるはずだ。
Rackspaceの最高経営責任者(CEO)Taylor Rhodes氏は同社ブログで以下のように記している。
急速に発展するマネージドクラウドサービス業界において、早くからリーダーとしての地位を獲得しているRackspaceは現在、大きな機会を目にしている。われわれはこの機会をつかみ取るために、長期的な成長が期待できるマルチクラウド関連の能力強化に向けたリソースの投入を実施できるような、より高い柔軟性を必要としている。こうした変革は、今後の数四半期にわたってわれわれの売上高や利益幅に影響を与えるはずだ。
取締役会はこれらの点を検討したうえで、Apolloによる今回の買収を通じて株式非公開企業になることが、株主にとっての価値を高める最善の道だという結論に達した。
Rackspaceの論理に異を唱えることは難しいだろう。今日における同社の主な事業は、クラウドサービスを用いたデータセンターのホスティングである。同社がクラウド顧客に対するサポートに注力すればするほど、四半期毎という観点でものごとを見るウォールストリートの評価は厳しくなる。自らの企業を改革するには非公開化が最善の選択肢なわけだ。
その一方で、RackspaceはITベンダーが古くから用いているやり方を踏襲しているとも言える。非公開化によって事業を改革するという道を選択した企業で最も有名なのはDellだ。
ここでの要点をまとめると、以下のようになる。
- Rackspaceは自社の戦略に合わない事業を手放そうとしている。
- 同社は、AWSとMicrosoftのクラウドに注力した事業にリソースを振り向けようとしている。
- Rackspaceのデータセンターとハイブリッドクラウドサービスは、パブリッククラウドでは対応が難しいワークロードをターゲットにするようになる。
- Rhodes氏は「非公開企業として、いっそう迅速に動くための柔軟性を手に入れられると期待している」とも述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。