アジャイル開発に事業部門を加える--運用データ共有の必要性:米AppDynamics

日川佳三

2016-09-27 07:00

 米AppDynamicsは、ウェブサイトの応答性能をシステム全体の視点から一元的に監視、分析するAPM(Application Performance Management)ソフト「AppDynamics Pro」を開発しているベンダー。2015年の売上高は1億5000万ドル。国内では2012年から新日鉄住金ソリューショズと丸紅情報システムズが製品を販売しており、2013年12月には日本法人のアップダイナミクスジャパンを設立した。

 AppDynamics Proは、監視対象のウェブサイトに専用のエージェントソフトをインストールして応答性能を監視するタイプのAPMソフト。ログイン処理や購入処理といったサイト利用者の行動の単位で応答時間を把握することが可能で、応答時間が悪化した際には詳細な理由をドリルダウン分析できる。データベースへの個々の問い合わせや、個々のプログラムコードの実行にどれだけ時間がかかっているかが分かる。

 ウェブサイトの利用者の視点で応答性能を把握する。このための監視設定を自動化している。個々のトランザクションの流れや、どのようなプロセスで構成されているのかを自動的に認識する仕組み。この上で、個々のトランザクションの応答性能を計測する。応答性能が悪化したかどうかを判断するしきい値の設定も自動化できる。ベースラインから何%乖離したら問題とみなすかを指定するだけで利用を開始できる。

業務、開発、運用の3者が性能データを共有


米AppDynamicsでCEO特別顧問・前プレジデントを務めるJoe Sexton(ジョー・セクストン)氏

 APMの背景には、EC(電子商取引)サイトのようなデジタル技術ありきのビジネスにおいては、ソフトウエアの性能がビジネスの業績に影響を及ぼす、という状況がある。「サイトがダウンすると、顧客は別のお店に行ってしまう」と、米AppDynamicsでCEO特別顧問・前プレジデントを務めるJoe Sexton氏はAPMの重要性を指摘する。

 AppDynamics Proの特徴のうち、デジタルビジネスを支える上で特に重要なものが、誰でも使えるダッシュボード画面だ。問題が発生している箇所を、緑、黄、赤の3色で視覚的に把握できるようにしている。開発部門だけでなく、業務部門や運用部門を含めた全担当者が性能を把握できる。3者間で性能情報を簡単に共有できるので、それぞれの担当者が協力し合って課題を解決する、いわゆる“BizDevOps”を実現しやすい。

 「現代のようにソフトウェア戦略とアプリケーションが成功に影響を及ぼすという時には単に開発(Dev)と運用(Ops)に限らず、ビジネス部門も責任を持つ必要がある。それがBizDevOpsだ。BizDevOpsが効果的なのは企業におけるすべての機能、あらゆるチームが、そのアプリケーションの重要性、ビジネスにもたらす成果についての共通認識と可視化された情報を持つことだ。これにより戦略的な優先順位が必然的に立てられる。業務部門、開発部門、運用部門の3者が同じデータを見られることが重要」(Sexton氏)

 ウェブサイトに性能上の問題が発生した際には、ネットワーク責任者やデータベース責任者、アプリケーション開発者、運用担当者など、事業に関わる全担当者が協力し合い、どこに問題があるかを突き詰める。CEOは、こうしたBizDevOpsの文化を推進する役割を担う。

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