Rethink Internet:インターネット再考

インターネットは次の四半世紀へ(後編)--新たに必要な「三つのエコロジー」

高橋幸治 2016年10月01日 07時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
<前編はこちら>

環境化したインターネット、血肉化したインターネット

 四半世紀という時の流れは、人間にとってのインターネットを外部的には環境化し、内部的には血肉化した。「デジタルネイチャー」とはよく言ったもので、インターネットがもたらす情報世界はもはや私たちの自然であり、生身の身体とも決して切り離すことのできない強度と深度で同期している。

 したがって、来るべき次の25年にはインターネットは私たちの意識の後景にどんどん退いていくだろう。森や海に抱かれつつ自らの生命が維持されていることにとりたてて驚きを感じないように、私たちは自らが利用している道具、享受している娯楽がインターネットを介して実現されていることをほとんど知覚しなくなるのではないか。

 同時に、それらのサービスが生活のあらゆる場面でインターネットを通して吸い上げられた私たち自身の行動履歴や身体情報をもとに生成されていることにも思い致すことがなくなるだろう。実際、街中で「Pokémon GO」に興じているほとんどの人々はインターネットというテクノロジの存在を意識していない。

 第2四半世紀のインターネットを暗示するこうした傾向に対して、WWWの生みの親であるTim Berners-Leeは近頃さまざまな場所で警告を発している。


WWWの生みの親であるTim Berners-Lee氏

 この6月8日から9日にかけてサンフランシスコで開催された「Decentralized Web Summit」(分散型ウェブサミット)において同氏は「Re-decentralizing the web」(ウェブの再―分散化)というタイトルの基調講演を実施、「現在のウェブはユーザーを監視し、特定のサイトを閲覧不能にし、人々のコンテンツを再利用し、われわれを間違ったサイトに誘導していく。これらは(ウェブの本来の特質である)双発的な精神を完全に損なうものだ」と述べ、「ウェブは最初から分散化されている。問題は特定の検索エンジン、特定のSNSにウェブが支配されていることだ。われわれは技術的な問題ではなく、社会的な問題を抱えている」と語った。

 私たちの環境となり、私たちの血肉となったインターネット......。そこから派生する新しい可能性と危険性......。私たちはインターネット第2四半世紀の様態に適合した新しい認識や省察のフレームを持たなければならないだろう。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
「企業セキュリティの歩き方」
「サイバーセキュリティ未来考」
「ネットワークセキュリティの要諦」
「セキュリティの論点」
スペシャル
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell EMC World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
より賢く活用するためのOSS最新動向
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
米株式動向
日本株展望
企業決算