その昔、Canonicalの「Ubuntu Linux」は、デスクトップLinuxとして知られていた。もちろん、Ubuntuのデスクトップは今でも人気があるし、Canonicalは今もデスクトップの改善に力を入れている。しかし、最新リリースである「Ubuntu 16.10」を見れば、同社がこのOSの未来がコンテナとクラウドのためのエンタープライズLinuxにあると考えていることは、火を見るよりも明らかだ。
Ubuntuはすでに、クラウドでもっともよく使われているLinuxになっている。Canonicalは、「Kubernetes」のCanonical版ディストリビューションによって、Ubuntuをコンテナでも人気のあるLinuxにすることを目指している。
これを利用すれば、DevOpsの手法を使って、「Docker」やRed Hatの「Open Container Initiative Daemon」(OCID)、CoreOSの「Rkt」などを簡単に管理できるようになる。Googleで誕生したKubernetesは、今ではすべての主要なパブリッククラウドや、ベアメタルクラウド、オープンソースの「OpenStack」クラウドでサポートされている。
Ubuntuは、「Microsoft Azure」にも対応してはいるものの、改良点の多くは「Canonical Openstack」に焦点を当てている。また、自社が中心となって開発を進めてきたコンテナハイパーバイザである「LXD」も導入された。LXDは、大規模なコンテナ環境でハイレベルな管理とパフォーマンスを提供できるよう設計されている。LXDのコンテナは、仮想マシン(VM)と同様に扱えるようにすることを目指して作られており、これによって企業は、アプリケーションや運用に変更を加えることなく、VMからコンテナへ移行することができるようになる。
CanonicalとUbuntuの創設者であるMark Shuttleworth氏は、発表の中で「世界最速のハイパーバイザであるLXDと、世界最高のクラウドOSであるUbuntuを、最新のOpenStackおよびKubernetesと組み合わせて使用すれば、世界でもっとも高速で、質の高いプライベートクラウドインフラを作ることができる」と述べている。
Shuttleworth氏はさらに、「われわれの目標は、本当のハイブリッドクラウドの運用を可能にすることだ。企業は主要なパブリッククラウドと、自社のデータセンターをまたいで、ベアメタルからクラウドコンテナまであらゆるものを運用しているが、今回のリリースでは、その際に使用しているツールやプラットフォームをさらに強化している」と続けている。
Ubuntu 16.10では、クラウドで使いやすいOSに向けた別の取り組みとして、「Metal as a Service」(MAAS)2.0も導入されている。
Canonicalの主張では、MAASは物理的なデータセンターを「クラウドのように」感じさせることができる。これは、ウェブまたはREST APIを通じて、カスタムイメージのVMをオンデマンドで提供することによって実現されている。これを使えば、標準の設定でも、Ubuntuだけでなく、CentOSやWindowsなどの他のOSも動かすことができる。