サービタイゼーション

事例から学ぶサービス事業の収益化と競争優位の確立--ものづくりの行き先(3) - (page 2)

垣貫 己代治(サービスマックス)

2016-10-31 19:21

 この導入には副産物がありました。モバイルの導入により、緊急対応などのリクエストもほぼリアルタイムで処理され、同日内に作業が完了する割合も増加しました。また、訪問時間管理なども厳密に行えるようになったため、ベンディングマシンを導入している店舗のCCEに対する満足度は劇的な改善を見ることができました。

 CCEは、さらに次の戦略に踏み出しました。フィールドサービスエンジニアの稼働が最適化されたことによるコスト削減効果は非常に大きかったものの、CCEの保守サービスは基本的に無償で提供されていたため、即時的な売上・収支拡大のためには新たな施策を検討する必要がありました。

 CCEの社内で検討を行っていたころ、同社のベンディングマシンを利用している店舗から、同一店舗内に設置されている他社設備の保守が可能かどうかという相談が入り始めました。どうやら、他社のサービス内容や品質に不満があったようです。副産物と思っていた店舗の満足度向上の効果です。

 早速、CCEはこのビジネスモデルの立ち上げを進めました。他社設備への保守サービスは有償で提供されます。これまで限定的だった有償サービスによる売り上げを、開始からわずか3年で伸長率275%を記録したのです。

垣貫 己代治
サービスマックス日本法人代表
外資コンピュータメーカーで製造業を中心とした営業に従事し、シスコシステムズ、ネットワーク・アプライアンス(現ネットアップ)、富士通を経て、国内ITセキュリティ・コンサルティング企業の立ち上げに参画。2007年にナイスシステムズに入社し、日本法人代表取締役に就任した。2010年からアスペクト・ソフトウェアの日本法人代表を歴任後、2015年5月より、米ServiceMax日本担当バイスプレジデント兼日本法人代表。

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