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キャズム理論の最新版--日本企業の戦略への指針に

怒賀新也 (編集部)

2016-11-07 07:30

 最新のIT製品が出たらとにかくすぐに購入する「イノベーター」や「アーリーアダプター」と呼ぶ層と、その後に購入を検討する多数層の間にある溝――キャズム理論はGeoffrey A.Moore氏が1991年に『Crossing the Chasm』を出版してから既に25年の時を経たが、今も企業マーケティングを語る上で存在感を持っている。

 イノベーターは2.5%、アーリーアダプターは13.5%と言われており、この計16%の有力層を越えて、アーリーマジョリティ(34%)、レイトマジョリティ(34%)、ラガード(遅滞者、16%)が構成する残りの層に浸透し始めると、「キャズム越えした」などと言われる。

ChasmInstituteのマネージディレクター、Michael Eckhardt氏
ChasmInstituteのマネージディレクター、Michael Eckhardt氏

 このキャズム理論を軸に、企業向けコンサルティング事業を展開するのが、米ChasmInstituteだ。IBM、Cisco Systemts、Facebook、Googleといった米国の大手IT企業も、自社の戦略立案の際に助言を求めている。

 今回、日本企業のビジネス成長を支援する事業を進めるため、東京でセミナーを開催。来日したChasmInstituteのマネージディレクター、Michael Eckhardt氏に話を聞いた。

 キャズム理論が登場してから時が立ち、その間に世界中でビジネス環境の変化が起きている。その影響は現在の理論にどのような影響を及ぼしているか。2年前に日本でも出版した最新書籍『キャズム2』(翔泳社)を紹介するという目的もある。Echardt氏によると、キャズム理論は世界的なビジネス環境の変化などを受け、大きく2つほど変更および修正点があるという。

 1つは、企業がある事業で優越的な地位を維持する期間について。「以前は10~15年といったスパンを想定していたが、現在はそうは言っていられない。3~5年と考えている」とEckhardt氏。成功を継続するためには、新たな施策を用意しておかなくてはいけないという。

 もう1つはウェブの登場の影響だ。ウェブの登場により顧客自身がさまざまな情報を取得できてしまう点が以前とは決定的に異なる。その環境で、キャズムを越えて企業が成功を収めるには、コンサルティング的な発想力がスキルとして求められてくるとしている。

 Eckhardt氏は日本企業について「自らにイノベーションがないと考える傾向があるが、違う。実際には多くの日本企業がイノベーティブだ」と指摘。しかしながら、その強みを、マーケットの大きな部分、すなわち市場性の高い部分に持って行けていないというのが課題と分析する。ただし「ソフトバンクや、ゲーム事業を手掛けるソニーや任天堂などの成功企業があるものの、BtoB領域で存在感のある企業がないのは残念だ」とも話している。

 ではどうすればいいのか。ChasmInstituteは、適切な市場での事業展開を成功させるための9つの項目――「ターゲットカスタマー」「購買するための説得力のある理由」「ホールプロダクト」(購買者の期待に近づけるように段階的に補完的なサービスなどを提供していくこと)「パートナーシップ」「販売戦略」「価格戦略」「競合」「ポジショニング」「次のターゲット」からなるフレームワークを展開する。

 GEが、航空機エンジンを単純に販売するのではなく、飛行距離に応じて課金するサービス化の事業モデルに転換していることなどを挙げながら、「今後は変革に取り組まないことがリスクになる」と強調。キャズム理論をベースに、日本企業の成長戦略立案支援事業に自信を見せた。

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