2017年前半に、エンタープライズ向け「Slack」のリリースが予定されている。最大のセールスポイントは、社内に無秩序に分散する個人アカウントを使用しているチームを、企業が管理する手段が得られることだろう。
Slackの最高技術責任者(CTO)Cal Henderson氏によれば、Slackは簡単に大規模なコミュニケーションプラットフォームを展開できるツールのベータテストを行っているという。
例えばSlackは、Fortune 100企業の28%と企業ライセンス契約を結んでいる。しかし、企業の最高情報責任者(CIO)たちは、会社内でSlackを使用しているチームの数や、使われているSlackのインスタンス数を正確に把握していない。
エンタープライズ向けSlackは、管理やプロビジョニングのためのツールだけでなく、シングルサインオン機能も備えている。「現在、さまざまな企業でベータテストを行っている。IT部門は、社内に無秩序にSlackの利用が広がっているという課題に直面している。多くのチームは、個別にSlackを購入している」とHenderson氏は言う。
テクノロジ担当役員が抱える課題は、これまでになかったものだ。アプリケーションが草の根的に企業に普及すること自体は、新しい話ではない。コンシューマライゼーションが進み、従業員が個人所有のハードウェアやソフトウェアを仕事に持ち込むことが多くなった。
しかし、Slackの管理問題がほかと違うところは、同社の潜在需要が非常に大きいということだ。CRMは普通の従業員が関わるようなものではなく、「Salesforce」などのクラウドサービスは事業部門の責任者が採用して普及した。「Amazon Web Services」は、個人開発者の利用からスタートしたように、この市場は最初は開発者から始まっている。
それに対して、Slackはチームに所属する社員なら誰でも使うことができ、例えばIBMは、3万5000ユーザー分ものSlackアカウントを持っている。Slackを中央で管理できるのは便利だが、それにはまず無秩序に利用が広がる問題を制御する必要がある。Henderson氏は「現在は、10万人のユーザーにSlackを展開するという課題に取り組んでいる」と述べている。
Henderson氏は企業顧客を、プラットフォーム、エコシステム、国際性と並ぶSlackの成長エンジンだと捉えている。同氏の考えでは、シリコンバレー企業を除けば、Slackのことを知らない企業はまだまだ多く、今後企業顧客が増える可能性は高い。
「相対的に言って、Slackのことを知っている人の数は少ない。拡大の余地は大きい」と同氏は述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。