SAPジャパンは12月8日、インメモリデータベースの最新版「SAP HANA 2」の提供を開始した。データベースやデータの管理、分析、アプリケーション開発などで機能が追加、拡張された。
データベース管理では、可用性、セキュリティ、ワークロード管理、運用管理などを強化した。新しいアクティブ-アクティブ読込対応のオプションが追加され、従来システムの複製にのみ使用していたセカンダリシステムを読込処理に活用できるようになる。これにより、ワークロードを軽減でき、運用効率の改善が期待できるとしている。
データ管理では、企業モデリング、データ統合、データ品質、階層ストレージが拡張された。保管場所にかかわらずデータを利用できるようになり、HANAを基盤とする「SAP Enterprise Architecture Designer」ウェブアプリケーションの最新版を利用することで、複雑な情報アーキテクチャも管理できるようになるという。
分析では、テキストや地理空間、グラフ、ストリーミングといったデータの分析処理エンジンが拡張された。分類や相関性、時系列、回帰のためのアルゴリズムが予測分析ライブラリに追加され、新たなパターンを発見したり、カスタムアプリケーションに機械学習を組み込んだりできるようになっている。
アプリケーション開発では、アプリケーションサーバや開発ツール、開発言語のための拡張機能が追加された。開発言語のサポートに関しては、サードパーティーのビルドパックやランタイムが選択肢として追加され、アプリケーションサーバ「SAP HANA Extended Application Services, Advanced Model」で利用できる。新たなファイル処理APIでテキストやメタデータを文書から抽出し、より高度に洞察を導き出せるようにもなっている。
HANA 2では、新機能をサポートパッケージとして年2回提供していく。無料で使えるExpress Editionを近日の提供を予定している。
PaaS「SAP HANA Cloud Platform」の新たなサービスも発表された。テキストデータを処理する「Text Analysis Entity Extraction」「Text Analysis Fact Extraction」「Text Analysis Linguistic Analysis」が追加され、自然言語処理によるアプリケーション拡張が可能となった。
「Earth Observation Analysis service」(ベータ版)も追加された。標準化団体「Open Geospatial Consortium(OGC)」の標準規格に基づくマイクロサービス。欧州宇宙機関(ESA)と共同で開発した。ESAの人工衛星データにアクセスし、HANAのspatial editionを使用してクラウドで空間処理を実行する。