#3:簡単に解決できる問題から手を付ける
リアルタイムでのリモート操作や、製品に問題が発生した際のタイムリーな解決など、企業を長年にわたって悩ませてきている基本的な問題が数多くある。IoTプロジェクトではまず、手の届きやすい目標を達成した後、次の目標へと向かっていくようにしてほしい。Kranz氏は「目標は大きく、しかし最初の1歩は小さく」と記すとともに、「まず、明確な利益をもたらせる、リスクの小さなプロジェクトから手を付け、専門知識の向上とサポートの増加にあわせて、より大きな野望に向けて進んでいってほしい」とアドバイスしている。
#4:チームとして、そして企業として実践する--そして可能な限り標準化する
Kranz氏は、「一匹狼という言葉にはロマンがあるかもしれないが、IoTプロジェクトでは成功を阻害する要因となる。これはチームスポーツだ。会社の内外を問わず、パートナーのエコシステムを作り上げるところから手を付け、協調体制を整えてほしい。そして、適切なプロセスと重要業績指標(KPI)を用意し、全体を通じてオープンな標準から逸脱しないようにしていってほしい」と記している。
#5:確立された提携関係とインストールベースを利用する
IoTを成功に導く鍵は、社内の力だけでなく、パートナー企業や業界内のプレーヤーの力にもある。Kranz氏は、「既存産業の多くには、長期にわたって築き上げてきたエコシステムや提携関係がある。プレーヤーのなかには今までとは違ったやり方を望み、積極的にそういった道を模索しているところもある一方、抵抗するところも多いはずだ」と記している。同氏は、業界レベルでの抵抗を乗り越えるための鍵が「オープンな体質の模索」にあると指摘している。
#6:変革の管理方法を立案しておく
組織の抵抗や変革の管理方法に関する戦略と長期的な取り組みが鍵となる。Kranz氏は「IoTは組織の運営方法と価値の調達手段に変革をもたらすことを目的とした、複数の段階を要する長期的な取り組みだ。その過程において組織の抵抗が出てくると想定できるはずだ。そのような抵抗と粘り強く戦っていくための準備が必要だ」と記している。同氏はまた、成功と失敗を分け隔てなく、社内全体に広く知らしめておくことの重要性についても記している。
#7:インテグレーションを優先する
ほとんどの組織は、既存のテクノロジやデータストアを抱えており、それらはIoTに対する考慮などなされていない。Kranz氏は「ほとんどのIoTプロジェクトは、何らかの既存環境上に実装されることになる。このため、プロプライエタリなシステムをオープンな標準で置き換えるべく、積極果敢かつ、思慮に富んだ計画を練りあげてほしい。IoTシステムは企業インフラの一部になる必要がある」と記している。さらに同氏は、完全な相互運用性が実現されるよう注力しなければならないとも付け加えている。そして相互運用性で妥協した場合、「プロジェクトは破綻し、その寿命は非常に短いものとなり、莫大な出費が必要になる」と記している。