ZDNet:7月にソフトバンクとの提携を発表していますが、ほかにも日本での提携の話はあるのでしょうか。
George氏:パナソニックとも提携しています。パナソニックのノートPC「TOUGHBOOK」とCradlePointのLTE/Wi-Fiルータである「COR IBR1100」を連携することで、セキュアなネットワークに接続するというものです。これは自動車に設置するもので、「COR IBR1100」はLTEに接続してWi-Fiルータとして動作します。
こうした車載のネットワーク機器はわれわれの強みのひとつで、警察や警備会社、消防署などでの導入が多くあります。また警察などでは最近、ボディカメラの装着が義務づけられています。ボディカメラも「COR IBR1100」に接続することでモニタリングを可能にしています。これも他の製品と同じく、ネットワークをSD-WANでソフトウェア化することで、移動してもネットワークのコネクティビティとセキュリティを保つことができます。
ZDNet:車載以外には、どのような目的のものがあるのでしょう。
George氏:Cradlepointでは、ピープル、プレイス、シングスの3つのエリアを対象としていますが、たとえばシングスで規模の大きいものには自動販売機があります。自動販売機やキオスク端末にCradlepointの製品を組み込むことで、1台のコンピュータから一括管理できます。実績として、約10万台の自動販売機に導入しているケースがあります。このほかにもデジタルサイネージや監視カメラ、スマートシティなどにも展開しています。
クレイドルポイントの日本でのカントリーマネージャである中島隆行氏
中島氏:日本での協業では、ソラコムとも話が進んでいます。ソラコムのベースはSIM販売ですが、SIMは端末をクラウドに接続する際の認証として使えます。Cradlepointの言うピープルの部分ですね。ソラコムのSIMもCradlepointの機器で動作しますので、4Gで接続できないお客様にリーチするためにCradlepointと一緒にできないかというお話しをいただき、実際に動いているケースもあります。Cradlepointとしても、新たな回線を用意するのはコストがかかりますので、パートナーといった位置づけです。
ZDNet:ほかに特徴的な導入事例はありますか。
George氏:まず、フェイルオーバーの環境を作りたいという理由で導入するケースがあります。一般的なCiscoのルータを使っているけど、CradlepointによりLTEなどでフェイルオーバー環境を作る。セブンイレブンが代表的な事例になります。小売業や金融業では継続性が重要になりますから、そうした分野の顧客が多いです。
また、先ほどお話しした自動販売機の事例です。Cradlepointの小さなルータを使って、10万台の自動販売機を一元管理しています。こちらはニューヨーク、マンハッタン全域で導入されています。もうひとつは支店や小売店舗に設置するケースで、(飲食店チェーンの)Raising Cane'sや(ガソリンスタンドチェーン)United Oilなどが導入しています。主にコネクティビティとバックアップといった用途でSD-WANにアドオンしています。
ZDNet:今後の展望は。
George氏:ピープル、プレイス、シングスの各分野において、ソフトウェア化、スケーラビリティ、セキュリティをさらに推進し、それらをクラウドで一元管理できるような製品、環境を整備していきます。特にIoTは得意分野ですので、よりIoTを広めていくために使いやすさ、活用の幅を増やしていきます。たとえば(収集データに対する)アナリティクス(分析)エンジンなどの付加機能を提供していきます。また、IoTは自動化も重要な要素ですので、自動的にポリシードリブンを実現できる世界を目指します。