Fintechの正体

「生体認証ブーム」に「おつり貯金」--2017年以降のFinTechを予想

瀧 俊雄

2017-01-04 07:00

 前回は、2016年のFinTechの動きを振り返りました。今回は、2017年とそれ以降の動きを考えてみましょう。

 まず、2017年は「キャッシュレス化」と「シームレス化」が進むと予想しています。そして、あえてワイルドな予想をするなら、生体認証ブームが来るはのではないかと考えています。

 12月に発表された「Amazon GO」は、顔認証とディープラーニングを活用して、利用者が店舗内で商品を手に取ったり戻したりした動きをトラックできるものです。もちろんすごいテクノロジですし、ユーザーエクスペリエンスも大幅に向上するものと感じます。

 しかし、それ以上に私が価値があると考えているのは、ボタンを押すと、洗剤や飲料水、おむつといった日用品を注文できる小型端末「Amazon Dash Button」です。スーパーに行って食べたいものを選んで、自分の生活を考えながら購入し、帰ってくるという一連の動作には、一定の楽しさや喜びがあります。人間が買い物やウィンドウショッピングをするのは、買い物という行為自体に消費価値があるからです。


Amazon Dash Button

 これが、金融の世界とAmazonの世界で違うところですよね。金融というのは買い物のように楽しくはありません。どの水にするかを選ぶことなく、ただ水を買って帰ってくるだけだったら、そこに消費価値は発生しないのと同様です。その場合には、支払い行為も運ぶ必要もないボタンの方が便利でしょう。水が欲しいだけなら、「Amazon Dash Button」さえあれば良いということです。

 キャッシュレスの重要性とは何か。突き詰めて考えると、決済手段としてはクレジットカードよりも電子マネー、電子マネーよりも端末認証、顔認証や生体認証の方が楽で、究極的には買い物行為すらない方が便利なはずです。そしてその生体認証を用いた決済は、現在、金額の限度付きで可能になり始めています。

 生体認証サービスに取り組む企業は増えており、例えばLiquidは、12月に福岡市で訪日外国人旅行者向けの指紋認証を活用した本人確認・決済サービスの実証実験を始めました。

 2016年は9月にApple Payが登場し、12月にAndroid Payが登場。2017年はAlipayによる動きも予想されます。しかし、生体認証の使い勝手は設計次第では指や顔を認証すればスマホすら不要とできるため、QRや端末による認証を超えていく可能性があるのです。

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