海外コメンタリー

効果的なデジタルワークプレースを実現する鍵--組織力強化へ、今何を見直すべきか

Dion Hinchcliffe (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2017-01-24 06:30

 最近では仕事の多くがデジタル環境で行われており、デジタルワークプレースの全体的なユーザー体験は、それ自体が企業にとって非常に大きな課題になってきている。

 簡単に言えば、複雑で変化が激しい今日の仕事環境においては、分かりやすく、導入しやすい、よく考え抜かれたデジタルツール群を提供することが極めて重要だということだ。従業員の生産性や効率の水準から、従業員エンゲージメントや従業員定着率に至るまで、重要な評価指標はすべて、従業員が使用するデジタルツールの性質と品質から大きな影響を受ける。

 筆者の経験では、近年デジタルツールはよりパワフルで使いやすくなってきている。しかし最近、戦略的な設計の課題になっているのは、個々のツールそのものではない(ただし、個々のツールやプラットフォームの課題もまだ残っていることは確かだ)。

 むしろ、大きな問題になっているのは、テクノロジが企業内での活動にとって不可欠な存在になるに従って、年々複雑になっている(しかも多くは変化が予見しにくい)デジタルワークプレースの全体像だ。最近では、このデジタルな職場環境の複雑さと変化の激しさという問題に、最高情報責任者(CIO)と人事担当役員が協力して取り組むようになった企業を見ることが多くなっている。


デジタルワークプレースの課題

 いかに従業員にデジタルツールを提供するかという文脈で、多くの企業が経験している状況を説明するには、いくつかのポイントとなる事実を挙げるのが分かりやすいだろう。

  • 従業員が業務を行うために使用する必要があるアプリケーションやデバイスの数は、これまでになく増えている。ちなみに、筆者の大企業を顧客とした仕事の経験から言えば、10年前には主な業務用デバイスは1つだったが、今では3つ以上(デスクトップ、ノートPC、スマートフォン、タブレット)になっており、1週間に使用するアプリケーションの数は10~15種類から、30~50種類に増加した。
  • IT部門の許可を受けているかどうかに関わらず、従業員は自分が好むデジタルツールを使うことが多くなっている。いわゆる「シャドーIT」は、現在利用されているIT全体の3分の1から2分の1に及んでおり、筆者がIBMのサイトで公表した記事にもあるとおり、企業の61%は何らかの形でこれをサポートしている。特に組織の最前線においては、このことが使用アプリケーションの数が大きく増える原因となっている。
  • 従業員間のコミュニケーションや共同作業のためのツールは、この5年強の間に着実に、慌ただしい速さで増えた。筆者が、スタートアップや企業から、この分野の新製品について知らせるメールを平均で週に1通は受け取るようになってから、ほぼ10年近く経っている。その結果、今ではこの分野は非常に競争が激しくなっている。ソリューションの多くは、特定の活動のための特別な機能を持っていて部門レベルで使用されており、大いに役立っている。

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