クラウドストレージベンダーのDropboxは、エンタープライズソフトウェア分野に軸足を移すための製品を数年がかりで構築してきた。同社は米国時間1月30日、そうした製品を2種類発表した。
サンフランシスコで開催したメディア向けのイベントで、Dropboxは「Smart Sync」と「Paper」を発表した。Smart Syncはこれまで「Dropbox Project Infinite」と言われていた機能で、Paperはメモ作成やコラボレーションのためのツールだ。
Smart Syncはクラウドにあるファイルをローカルにあるかのように管理できる機能だ。これにより、ユーザーはローカルのハードドライブの容量をたくさん使うことなく、デスクトップ上でDropboxアカウントにある全てのファイルにアクセスできるようになる。Smart Syncはクロスプラットフォームで、旧バージョンのOSにも対応している。Dropboxによると、業界で初となるクロスプラットフォーム対応オンデマンドクラウドストレージソリューションであるという。
Paperは、これまでオープンベータ版が公開されていたが正式版としてリリースされた。Dropboxはこのリリースでいくつかの機能を新しく加えている。この中には、チームがプロジェクトでコンテンツを管理できる機能、タスクにチームメンバーを割り当てたり期日を設定できる機能などがある。
Smart Syncは30日より、Dropbox Businessユーザー向けに提供を開始する。Paperは同日、全ユーザー向けにリリースされる。
Dropboxがデジタルストレージ分野にとどまらず、それ以上の企業になろうとしていることは明らかだ。だがエンタープライズソフトウェアとコラボレーション分野には、多数の競合が存在する。
ファイルサーバでは、「Microsoft SharePoint」などのプラットフォームと競合することになり、コラボレーションとコミュニケーションソフトウェアでは、Slack、Evernote、Google、Atlassianなどと競合関係になる。
Dropboxがどのようにして既存のコンシューマー事業を維持しつつ、法人分野の強化を進めるのか、現時点ではわからない。Dropboxは「基本的にチーム向けに設計される」と最高経営責任者(CEO)のDrew Houston氏は述べている。
Houston氏は、「SaaS企業の中で史上最も速く」売上高のランレートが10億ドルに達していると述べた。Dropboxは、2017年にIPO(株式新規公開)を実施すると憶測されている。
提供:ZDnet.com
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。